ウェブ雑誌大手「オールアバウトジャパン」編集長の森川さんの評価はいつも厳しい。「インターネットが登場してから7-8年が経つ。でも、いまだにウェブ媒体のコンテンツ不足が常態化していて情けない。コンテンツがないから広告が獲れない。意地にかけても、読者を魅了し、広告を獲れるウェブ雑誌をこの手で完成させる」
「『ウェブ雑誌で飯を食うのは難しい』と言われると腹が立つ。この媒体をウェブ雑誌の成功事例にするまでは、一歩も後には引かない」創刊3年目に当たる04年3月期までに年商20億円、単年度黒字が当面の目標だ。オールアバウトは、約250人の一般編集者(ガイド)の力を借り、ネット上の情報を集め、読者に分かりやすい形で記事化するという、独自の編集スタイルだ。
「ガイドさんには、月額3万円の基本業務委託料に加え、読者の評価に応じた報酬を支払う。でも、普通の雑誌の原稿料に比べれば話にならないほど安い。それでも協力してもらえるのは、ウェブ媒体の潜在力があるからこそ」「ウチの旦那も、メル友がいるわけでも、パソコンが趣味でもないのに、自分の好きなワイン店エノテカが発行するメルマガが来る日になると、パソコンの電源を入れる。コンテンツが読者を引きつけ、ウェブ雑誌ビジネスは立派に花開く」と信じて疑わない。
プロフィール
(もりかわ さゆり)1965年、山梨県生まれ。87年、東京外国語大学卒。同年、リクルート入社。海外旅行情報誌「ABロード」、国内旅行情報誌「じゃらん」などを経て、93年、結婚情報誌「ゼクシィ」に配属。96年、ゼクシィ編集長。01年、ウェブ雑誌「オールアバウトジャパン」編集長。現在、同誌読者数は月間466万人。