もともとは、島根県庁の役人。約2年前にJETROに出向し、日本と海外のIT企業の橋渡し役を担っている。
島根県庁に入庁以来、公共事業用地の買収から、観光セ-ルスプロモーション、ラジオのCM番組制作など、さまざまなことで“島根繁栄”のために力を注いできた。
だが、「県内の企業が、海外進出のために力を貸して欲しいと訪ねてきた時があった。それを手助けする力を持っていなかった。レベルの低さ、キャリアの小ささを痛感した」と漏らす。
「外に出て、ノウハウや経験を身に付ける必要がある」。足がかりを求めて、JETROへの出向を志願。上司を拝み倒して許可を得た。
配属されたIT分野で、最初は勝手が違い戸惑う部分が多かったが、持ち前の根気強さが勝る。現在は海外と日本企業の個別の商談会で仲介役を務めたり、大規模な交流イベントを第一線で仕切る。
今年4月からは、JETRO上海オフィスに異動することが決まっている。「IT分野でも急成長を遂げている中国と日本の橋渡し役をできることは魅力。大きな経験を積める」と高ぶりを隠せない。
積んだ経験や人脈を島根に持ち帰り、繁栄につなげることが新田氏の目標。だが、「今は日本と中国のIT企業の交流に力を尽くす」と、取り組み姿勢は変わらない。
プロフィール
(にった まこと)1965年、島根県生まれ。83年、島根県立大東高等学校卒業後、島根県庁入庁。土木部に配属。道路・河川などの公共事業用地の買収業務に従事。86年、大阪事務所に異動。同年、関西大学法学部法律学科入学。90年、同学科卒業。93年、東京事務所に異動。首都圏向けラジオ番組のCM制作などをてがける。01年、日本貿易振興会(JETRO)技術交流部へ出向。