ソフトウェアおよびシステム関連のローカライゼーションは、翻訳の質はもちろん、対象データの解析やコンパイルなど、情報システムに対する理解力や開発力も要求されている。「右から左へ、ブローカー的にローカライズするのではない“ドキュメントソリューション”が強み」と言い切るのは、アイディーエスのWeb・ドキュメントカンパニープレジデントの大里真理子さん。
このカンパニーでは、従来の翻訳に加え、ソフト開発で培ったインテグレーション力を生かす。ある大手企業に、ワールドワイドのコールセンターに集まる顧客からの情報を効率的に一元管理できるシステムを導入。機械翻訳や翻訳支援ソフトを活用して英語とイタリア語の2か国語に対応させた。「ドキュメント案件を獲得するには、いかに低価格で提供できるかも重要」
案件増に対応するため、「翻訳コーディネータ」と呼ばれる登録制度を設け、在宅ワーカーを翻訳作業に充てコストを削減。カンパニーの正社員10人弱がプロデューサーとして登録者のスキルアップを図る。最近では、日本のソフトメーカー向けに、日本語を中国語や韓国語にローカライズする案件が増えた。今はまだ「中国や韓国、台湾向けのローカライズが多い」が、今後は同市場の企業を顧客とした「アジア地域のビジネス拡大」が夢だ。
プロフィール
大里 真理子
(おおさと まりこ)1963年、北海道函館市出身。86年、東京大学文学部英語英米学科卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。製造営業本部システムズエンジニアとして大型システムのネットワークとデータベースの構築を担当。90年、ノースウェスタン大学経営大学院に入学。ケロッグビジネススクール修士号(MBA)を取得。92年、ユニデンに入社。ユニデンとヤオハンインターナショナル、中国国際投資信託の3社による中国合弁会社である信友科技開発の武漢支店長などを歴任。97年、ソフト開発のアイディーエスに入社。