10年あまりオンラインショッピングの立ち上げに努めてきた。「わたしの右に出る人はそういない」とEC(電子商取引)への愛着の深さを示す。個人的にも、衣類や食品などの購入で月に5回はECを使う。今、温めているアイデアがある。リアルシステムとの融合である。具体的には「実店舗で稼働する商品管理システムであるPOSと、サイバーのECを融合すれば、利便性が飛躍的に高まる」と考える。
コマースリンクでは、国内有力ECサイトから120万点あまりの商品を横断的に検索するサービスを提供している。利用者はうなぎ登りに増えているものの、サイバー領域が中心だ。
「今はまだ夢の段階だが、実店舗の在庫情報を持つPOSシステムとECとが、企業や組織の枠組みを超え、全国規模で連携するようになれば、利用者はサイバーのEC経由で得た在庫情報を頼りにお目当ての商品を求めてリアル店舗に足を運びやすくなる」と、近未来のEC像を思い描く。田舎の味がする醤油ひと瓶の“お取り寄せ”でトラックを走らせるのはエコじゃない。指名買いに来てくれれば店舗も儲かる。
しかし一方で、従来の商習慣に阻まれ、簡単には実現できない現実に直面する。ブロードバンドが広く普及し、社会や経済のネットへの依存度は急速に高まっている。すでに後戻りできないのなら、未来の夢に向かって、全力で前進するしかない。
プロフィール
永山 淑子
(ながやま としこ)1956年、兵庫県生まれ。78年、学習院大学理学部化学科卒業。同年、富士通入社。富士通研究所に配属。94年から富士通のオンラインショッピングビジネスに従事。99年、ニフティに出向して引き続きECビジネスを担当。03年7月、コマースリンク設立にともない同社取締役に就任。