日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のパソコン事業は、レノボ・ジャパンに引き継がれ、今年5月から事業を開始した。レノボへの移管が決まった時の本音は、「ショックを受けた」。しかし、IBMのパソコンは「このままではシェアを伸ばすことはできないだろう」というところにきていた。パソコン事業の将来を考えれば、レノボへの事業売却は賢い選択だったという。
「レノボ・ジャパン」を創設するために経営側に立ったことで、「会社を作るという新たな経験ができた」と、自身にとっても大きな転機となった。
昨年12月、事業売却が明らかになった後、ユーザーやパートナーから多くの問い合わせが寄せられた。それにも関わらず、「詳しい状況を伝えられなかった。これが一番辛かった」と話す。新しい会社の社名すら言えないこともあった。宣伝やマーケティング活動でも苦労した。それでもセミナーを開いたり、パートナー企業を回って説明をしたりしたことで、理解してもらえた。「本当にありがたかった」という。
レノボ・ジャパンがスタートした5月以降は、「レノボ・ビジネス・パートナー・リセラー・プログラム」にすぐに取り組んだ。「日本IBMの時からずっとやりたかったこと。一番大事なのはパートナーだから」。レノボになってからはむしろ制約が外れて自由闊達な環境になった。
2万人規模の日本IBMから「600人の中小企業」のレノボ・ジャパンになったが、むしろ小回りのきく会社を目指す。「日本市場だけの成功を考えていてもだめ。世界から日本を見る」とキッパリ。
プロフィール
荒川 朋美
(あらかわ ともみ)千葉県出身。85年、慶應義塾大学商学部卒業。同年、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)入社。ゼネラル・ビジネス事業部北関東営業所配属。98年1月、IBM AP出向。SMBアジア・パシフィック小売業セグメントマネジャー。00年1月、ゼネラル・ビジネス事業部SMBマーケティング担当。01年7月、パーソナル・システム事業部PCダイレクト&マーケティング事業部長。03年11月、PS製品事業部PC製品企画&マーケティング担当。05年5月、レノボ・ジャパン執行役員ブランド&マーケティング担当。同年7月、レノボ・ジャパン・アジア・パシフィックプログラム・ディレクタープログラム・マーケティング担当。