大学卒業後に入社した三井物産では、新規事業の立ち上げに携わった。同社と米国の半導体メーカーとのジョイントベンチャー設立プロジェクトに参画するなど、「新しいビジネスを創造することを学んだ」と振り返る。
新規プロジェクトを立ち上げるという経験は、後にさまざまな場面で生かされる。1995年、「住みやすそうな北海道で仕事と生活を両立したい」との理由から、札幌市に本社を持つビー・ユー・ジーに入社。同社が米国のセキュリティ関連企業などと日本で電子認証を提供するという話が持ち上がり、合弁会社「サイバートラスト」の設立に携わり、ビジネスを成功させた。
サイバートラストの社長としてビジネス拡大に力を注いでいた00年、日本ボルチモアテクノロジーズ(現ビートラステッド・ジャパン)と合併。合併後、「カルチャーの違いを感じる」ようになり退社。しかし、「日本で電子認証を普及させるところまで極めたい」と、競合企業の日本ベリサインに入社した。
電子認証を日本で根付かせたという点で、川島氏の功績は大きい。日本ベリサイン社長の座を退き、再びビー・ユー・ジーに入社した理由について、「次のステップとして、オンリーワン技術を日本から世界に広めたかった」から。ビー・ユー・ジーは、「以前に入社した時から感じていたが、こだわりの製品を開発する技術者が多い」と自負する。
世界に通用する技術の提供は、川島氏の手腕にかかっている。
プロフィール
川島 昭彦
(かわしま あきひこ)1961年11月24日生まれ、奈良県出身。1985年3月、京都大学工学部卒業後、同年4月に三井物産入社。新規事業の立ち上げなどに携わる。95年4月、ビー・ユー・ジー入社。97年4月、サイバートラスト設立にともない、副社長に就任。同年7月、代表取締役社長に就任。00年12月、日本ベリサインに入社。取締役経営企画部長を経て、01年3月に同社代表取締役社長兼CEOに就任。05年5月、ビー・ユー・ジーに入社。代表取締役COO(最高執行責任者)に就任。