わずか4か月の集中講座で実用的な日本語が身につく独自の学習法を開発。オフショア開発を進める日本のソフト開発企業の注目を集めている。
主婦業をこなすかたわら、語学力を生かして翻訳の仕事を手がけたものの、「部屋にこもって辞書を引く孤独な作業に直面」して挫折。海外での日本語需要が増えたことを受けて、新しい学習法の開発に乗り出した。
これまでの日本語教育は、教養のある日本人と同等の日本語力の習得を目指すものが多く、「努力さえすればネイティブスピーカーになれる」と、まじめに考えられていた。 「そもそもこの前提が違うんじゃないか」と疑問を覚え、道具として機能する日本語を教えることを重視した。まず、基礎的な文法と単語を短期間で身につけさせ、次のステップでは学習者が必要とする専門分野の単語習得に進む斬新な手法を採用。
「従来の、日本語ネイティブを目指すものではなく、あくまでもビジネスの現場で役立つプログラム」に仕上げたのが特徴だ。
「主人は仕事をしていることをあまり快く思っていない。ただ、私の人生ですし、今やろうとしていることは『私』のためではなく『公』のためと思っている。多少の摩擦は覚悟のうえで主人との共通の知人、親戚などの外堀を埋めつつ説得した結果、仕事での海外出張も許されるようになった」という。
短期間で実務に役立つ日本語能力を素早く身につける学習法は、ソフト開発などのビジネス界から引き合いが急増している。
プロフィール
岩崎 美紀子
(いわさき みきこ)1972年、東京女子大学数理学科卒業、翻訳業を経て85年、日本語教師。88年、独自の日本語教育、日本語教師養成システム「MISJ(Mikiko Iwasaki's Systematic Japanese)」の研究活動を開始。92年、岩崎言語教育プログラム開発を設立。