静岡県沼津市。富士通のソフト開発部隊を擁する沼津工場がそこにある。 RDBMS「Symfoware」の開発を担当する綱川貴之さんは、この沼津工場にいる。富士通に入社して今年で10年目。ミドルウェアの開発技術を磨き続け、今では11人の開発者を束ねる。「LPICレベル2」や「XML Master プロフェッショナル」など取得した資格は5種類以上で、幅広い。
「『Symfoware』は、まだまだ質を高められる。やることがたくさんあるんです。それを解決していくのが面白いし、やりがいがある。トップクラスにしたいですからね」
綱川さんは、生まれつき目が見えない。画面上の文字を音声で読み上げるソフトを使って仕事をする。忘れたら資料に目を通して再確認するような、健常者にとっては当たり前の行為ができないため、一度聞いたことや覚えたことは絶対に忘れないよう努める。健常者よりも仕事のハードルは当然高いはずなのに、綱川さんからはその壁が感じられない。
「図や表を見ることができないのが難点。それ以外は支障ないかな。とりたてて大変じゃありませんよ」
今は『Symfoware』のことしか考えていないが、品質管理や開発プロセスなど、関心事は幅広い。視覚障害者向けPC操作支援ソフトを、OSSとして公開したいという思いも。
「ちゃんと仕事できるか不安で眠れなかった」入社時から約10年。努力を重ね、障害をものともせず、富士通のモノづくりを支える開発者になった。
プロフィール
綱川 貴之
(つなかわ たかゆき)埼玉県出身。1997年3月、筑波技術短期大学卒業。同年4月、富士通入社。富士通入社後、一貫してミドルウェアの開発に従事。リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Symfoware」や「PowerGres Plus」、XMLデータベース「Shunsaku」の開発を担当してきた。現在は、「Symfoware」に専念しており11人の開発者を束ねるリーダーとして開発を指揮する。主な取得資格は、「LPICレベル2」「XML Master プロフェッショナル」「Oracle Master 9i Platinum」。