幼少のころは学校にもろくに行かずプログラムに明け暮れた。大学では出版社やゲーム会社での「半社員」的なアルバイト生活のため1年生を4度経験した。そんな時、マイクロソフトから「ゲーム機向けOSを開発するから、そのSDK(開発キット)の開発にかかわらないか」とオファーがきた。もともとOSやDB、人工知能など「コンピュータそのもの」に興味を持っていた。「自分が4年間培ってきたゲームのキャリアと興味のあるOSを橋渡しする仕事にやりがいを感じた」。マイクロソフト直轄部署があるドワンゴ内に籍を置き、米国本社にも出向した。
その後、ドワンゴの方向性を変えた携帯事業を立ち上げ、2度目の渡米を経て2003年に独立。起業後、ドワンゴ時代に出会った、当時はまだ中学生だった安達真氏(現グルコース社長)と再会したことが、IPAの未踏ソフトウェア創造事業応募のきっかけになった。「面白い飲み会がある」と誘われて行った先では「どう世の中を変えるか」で盛り上がった。「いい年をして、そんなこと言う人たち」に惹かれた。集まった人たちは未踏絡みが多く、「さまざまな師に助言をもらえ、仲間もできる」と聞き、自分も“若い感性を持ちたい”と思うようになった。知り合った仲間に自分の構想を話すと、「未踏性があるから受けてみるといい」と後押しされた。
現在は、採択されたデータベースエンジン「ZEKE(ジーク)」を応用、コンテンツを一度つくるだけでFlashやHTMLにデータを自動変換できる携帯向けコンテンツ管理システム「ZEKE CMS SOLUTION」を開発し、10社ほどに提供した実績がある。ZEKEの実績を積み上げて、データベース市場の王者・オラクルと比較されるのが目標だ。
プロフィール
清水 亮
(しみず りょう)電気通信大学在学中に米マイクロソフトの次世代ゲーム機向けOSの開発にかかわり、1998年末にドワンゴ入社。99年に携帯電話事業を立ち上げる。02年に退社し、米DWANGO North Americaのコンテント開発担当副社長を経て03年に独立。05年にIPA(情報処理推進機構)により「天才プログラマー/スーパークリエイター」として認定される。