新しいウェブのあり方を具現化したとして今年11月、EC研究会の「ウェブ2.0ビジネス大賞」を受賞。ユーザーが他のユーザーに商品購買を依頼できる仲介サービス「バイマ」やブロガー向けPR代理などが新規性に富むビジネスモデルだと評価された。
「ネットを活用した新しい流通経路をつくれないか──」。漠然とした思いから問題点をひとつひとつ洗い出してビジネスに落とし込んだ。それが、ユーザー自身がバイヤーになる「バイマ」だ。2005年2月に立ち上げた。
たとえば海外で流行る衣服や化粧品、雑貨。すべてが国内で手に入るわけではない。バイマでは留学や駐在などで海外に滞在する人々に国内では入手が難しい商品の購買を依頼できる仕組みをつくった。海外に滞在する日本人はおよそ100万人いる。世界規模の購入ネットワークが忽然と現れた瞬間だ。
発注者側のクレジットカードの与信枠から購入代金を仮押さえし、商品が確実に届く段階で決済する。単純な仕組みだが「ネット通販に適用したのは当社が初めて」と胸を張る。バイマの会員は22万人余り。バイヤーは世界54か国に散らばる。国内から、海外へのモノの流れも活発化している。
ブロガー向けPR代理は情報の新しい流通路だ。約15万人のブロガーが登録。国内では目新しいサービスである。
今年度(07年1月期)はまだ先行投資の段階。来年度は2-3の新サービスを立ち上げ、早い段階での損益分岐点クリアを目指す。 「誰よりも早く次々に新しいビジネスモデルを創造するのがエニグモらしさ。近いうちに100万人を超えるユーザーに支持される会社になる」。ウェブの新しい可能性を追求するベンチャー魂が脈々と息づく。
プロフィール
田中 禎人
(たなか さだと)1974年、東京都生まれ。97年、青山学院大学法学部卒業。同年、オンワード樫山入社。98年、外資系PR会社入社。01年、米カリフォルニア大学経営大学院経営学修士(MBA)取得。同年博報堂入社。04年2月、共同最高経営責任者の須田将啓氏とともにエニグモを設立。06年11月、EC研究会「ウェブ2.0ビジネス大賞」を受賞。