経営のプロとして数々のソフト開発ベンダーの業績を伸ばしてきた。
ベンチャー企業を3年でナスダックに上場させたり、インスタントメッセンジャーの開発元を成長させて大手セキュリティベンダーによるM&Aまで持っていったりと、辣腕を振るう。
昨年7月、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を専門とするベンチャー企業・ネクサウェブのCOOを引き受けた。「ソフトビジネスは独創的なアイデアをタイミングよく市場に出すことが成功の秘訣。RIAは今まさにそのタイミングにきている」ことからCOO就任を決めた。
RIAは大手ベンダーが相次いで参入する激戦区。競合が強まり、存在感が薄れてしまう危険性があった。そこで打ち出したのが“基幹業務システム向けRIA”への特化だ。総花的な戦い方より、「自らのポジショニングを決めたほうが有利」と、立ち位置をより明確にする戦略に出た。
かつて経営に携わっていたMROソフトウェアでは、電光石火の勢いで営業拠点を世界40か国近くに展開。当初年商2億ドル程度だった企業を、最終的に7億ドル余りでIBMへの売却に成功した。
ネクサウェブがどう成功を収めるかはまだ分からない。だが、今まさに世界中を飛び回り、拠点網の整備を急ピッチで進める。
一方、日本のソフトベンダーをみると、集団で協力し、コストを下げ、品質を追求するといった「まるで製造業のような手法」との印象を受ける。ソフトビジネスは1人の天才がつくったものを、最も適したポジションで、タイミングよく市場に投入する「スピードが求められるビジネス」だと助言する。
プロフィール
デイビット・マクファーレン
(デイビット・マクファーレン)1963年、キプロス共和国生まれ。87年、イギリスのバス大学・電子工学修士課程を卒業。航空機電子部品メーカーのエンジニアなどを経て、MROソフトウェア、エクスチェンジアプリケーション、アイエムロジックなどのソフトウェア開発ベンダーの経営に従事。06年7月、RIA(リッチインターネットアプリケーション)ソフト開発の米国ネクサウェブCOOに就任。