「35歳になったら人生を変えよう」。ステップアップするために転職を繰り返してきた。「働く場所、上司も自分で決めたい。出世やお金よりも大切なものがある」。前職の取引先でもあったクレオを選んだのは社員の誠実な人柄にひかれたからだ。
入社当初は管理本部で購買管理などに携わっていたが、2006年5月、社内プロジェクトへの応募を機に、シニアビジネスに足を踏み入れた。葉書ソフト「筆まめ」のユーザーに中高年層が多いことに着目し、「何か『幸せ』を提供して、対価をいただくことはできないかと考えた」ことが新規事業につながった。
成功例をあまり聞かないシニアビジネス。ゼロから始めてうまくいくかどうかは未知数だった。そのため、シニアマーケティング企業でコミュニティサイト「シニアウィングス」を運営するパワーウィングスと業務提携した。軌道に乗っているサービスに肉付けすれば、成功の扉を開けやすい。パワーウィングスの社長とは理念が合致しているし、収支面でも一緒になるほうがいいと考えて、子会社化し、取締役に就いた。
「いってみれば、いつまでも『少年』みたいなもの。仲間を誘って、一緒に始めたのはいいが、責任が生まれる。取締役は初めてで、最初こそ喜んだけれど、今はプレッシャー」と苦笑する。だが、楽しくなければ続かない。「シニアの間で、神社や役所を調べて家系図を作ることが密かなブームになっている」。そこで、家系図作成ソフト「ネットde家系図」を提供した。「ユーザーが家系図を作ることで、顔を知らない同士が実はつながっていることが分かったりする。家系図ブームを起こしたい」。常に新しいムーブメントの創出に余念がない。
プロフィール
八木 大造
(やぎ だいぞう)■1969年4月、東京都生まれ。■91年、日立製作所日立京浜工業専門学院情報工学科卒。■外資系情報機器メーカーにてプロダクトマネージャー、外資系広告代理店にてITマネージャー、ソフトバンク・テクノロジーにてECサービス部門等の営業部長代行を歴任。■05年クレオ入社。06年社長室で新規ビジネスの社長直轄プロジェクトとしてシニアビジネスを担当。 ■07年4月、パワーウィングスを完全子会社化、取締役就任。 現在シニア向けコミュニティサイト「シニアウィングス」、ファミリー向けコミュニティサイト「ファミリーウィングス」を運営する。また家系図作成支援サイト「ネットde家系図」を提供中。■このほか2年間のキリスト教宣教師としてのボランティア活動など異色の経歴を持つ。■趣味は音楽。