「本当のパーソナルコンピュータは、PCではなく携帯電話。“電話”という名称がマッチしない時代が必ずくる」。
木寺祥友はそう信じて、2001年に携帯電話向けアプリ開発に特化したエル・カミノ・リアルを設立した。独自開発のケータイ向けRSSリーダー「ECReal Reader」は4万人のユーザーを獲得。フジテレビジョンやエイベックス・グループは自社のモバイルサイト構築で木寺の力を借りている。
大学を中退して起業、映像制作業に没頭していた木寺をITの道に誘った最初のきっかけはJavaだった。可能性を感じて学び、その力がNTTテレマーケティング(現・NTTソルコ)の目にとまり、サイバーモールの制作を任されることになる。
評価はサン・マイクロシステムズに伝わり、書籍執筆や講演の依頼が飛び込むように。代表作には、Javaの産みの親と言われるジェームズ・ゴスリング氏などのキーマンへの取材内容をまとめた「Javaを創った人々」がある。
Javaが携帯電話でも活用されたのを機に、関心はケータイに向く。RSSリーダーの開発のほか、Flashを活用したケータイサイト構築が本業。今後もケータイ向け以外のビジネスを手がけるつもりはない。創業時に抱いたパーソナルコンピュータとしてのケータイの可能性、ビジネスポテンシャルの高さを、木寺は今でも疑っていない。
夢は世界。「先行している企業を徹底的に学んで真似る。そして先駆者を超える。いつか世界でも存在感を示せる企業へと成長させたい」。
一風変わった社名の意味はスペイン語で「王の道」。シリコンバレーを縦断する道の名でもある。(文中敬称略)
プロフィール
木寺 祥友
(きでら よしとも) 1963年8月、神奈川県横浜市生まれ。関東学院大学工学部建築学科を中退し、映像制作関連企業を設立。2001年、エル・カミノ・リアルを設立し、携帯電話向けWebサイトやアプリケーション開発業を手がける。執筆活動にも積極的で、著書に「Javaを創った人々」(アスキー)、「今すぐできるiアプリ」(インプレス)などがある。