山中重治の仕事へのモチベーションになっているのは、「世の中の変革に貢献したい」という思いだ。現在は、アプリケーション開発用のプラットフォームをサービス型で提供するPaaS商材の企画チームを率いている。「これまで受託開発しかできなかった小規模のソフトハウスも、PaaSを使えば、プライムベンダーとしてのアプリ開発が可能になる」。山中は、企画チームを統括して、まだまだ浸透していないPaaSの価値を訴求する活動に力を入れている。胸に刻んでいるのは、部下への思いやり。メンバー各人のスキルに適合するかたちで仕事を振り分け、力を発揮させるのだ。
「何だ、あいつ。仕事を満足にこなせないのか」。山中は数年前までは、今とはまるで別人のように、周囲に厳しい目を向け、飲み込みがよくない者に対して、容赦のない言葉を口にすることがあった。ターニングポイントになったのは、複雑なソリューション構成になっていた、ある大型プロジェクトに携わったことだ。納期が迫るなか、お客様のあらゆる要求に対応しなければならないそのプロジェクトで、過労によってうつ病になったメンバーが出て、「チームとして非常に苦しい思いをした」。そのとき、山中は理解した。「周囲を責めるよりは、いっしょに仕事に取り組むほうが、問題解決が早くなる」ということを。
「○○君、顔色がよくないね。どうしたの?」。今は、部下たちに頻繁に声をかけ、悩みを把握しようとするようになった。「だんだん人の心がわかってきた」。山中は、思いやりを前面に出して、チームのメンバーと一緒に、大きな可能性を感じているPaaS事業の拡大に奔走している。(文中敬称略)
プロフィール
山中 重治
山中 重治(やまなか しげはる)
大学を卒業後、2000年、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)に入社。ビジネス企画やサービス開発に携わる。現在は、ホスティングサービス「Cloudn(クラウド・エヌ) PaaS」を担当している。趣味は、ピアノを弾くこと。とくに、ラフマニノフなど、近代ロシア作曲家の協奏曲が気に入っているとか。