世界に出て勝負をしたい。朴玄泰は、高校を卒業すると同時に故郷の韓国・釜山を離れ、首都ソウルの大学に進学して情報・マルチメディアを専攻した。兵役も含めて6年余りをかけてたどり着いた答えは「ITの分野で世界で通用する仕事をしたい」である。そんな朴の目に、世界に向けて仕事ができる会社として映ったのが日本のGMOインターネットだった。入社した後は、ゲーム業界向けクラウド基盤サービスの開発に没頭してきた。
日本での仕事を選んだのは、「まずは異文化を体験し、海外での経験を積むことが自分のキャリアを伸ばすのに欠かせない」と判断したからだ。日本や韓国、欧米やアジア、どこで仕事をするにしても、ビジネスにおける国際感覚を磨くには、海外で仕事をするのが手っ取り早いと考えた。
今年4月には、担当している「GMOアプリクラウド」を全面刷新。これまで半ば独自につくり込んできたクラウド基盤にオープンソースソフト「OpenStack」を採用し、使い勝手を“世界基準”に合わせた。ゲーム業界は、国内外のソーシャルメディアへの対応が急ピッチで進んでいて、そのサーバーリソースとして「GMOアプリクラウド」が選ばれている。
来日してみえてきたのは、日本と韓国の等身大の姿だった。韓国のIT業界はとにかくスピードで勝るのに対して、日本はていねいにつくり込むだけに、スピードの面で劣る。世界市場では、ビジネスの闘争心も韓国に押されているようにみえる。であれば、「日本のITサービスにスピードと海外ビジネスに対する貪欲さを自分が付加すれば必ず伸びる。ソーシャルゲームが世界的に伸びる時期は今しかない」と、自らを鼓舞しながら開発にいそしんでいる。(文中敬称略)
プロフィール
朴 玄泰
朴 玄泰(Hyuntae Park)
1980年、韓国・釜山生まれ。兵役を終えた後、07年、慶熙大学を卒業(情報・マルチメディアを専攻)。同年、来日。都内のSIerでの勤務を経て、10年、GMOインターネットに入社。ゲーム業界向けクラウド基盤サービス「GMOアプリクラウド」事業を担当。