富士通は今年5月、クラウドサービスの切り札として、パブリッククラウドのIaaS/PaaS「K5」を発表した。大門恭子は、これからの同社事業の根幹をなす新商材の販売推進という大役を担う。「お客様のそばでシステムをつくってきたノウハウがあるからこそ、世に出すことができたサービス。そのよさをうまく伝えられるように心を砕いてきた」という言葉に、思い入れの強さがうかがえる。社内の多くの人間が議論に議論を重ねてつくり上げてきた商材であり、とりまとめ役としてこのプロセスを支えてきた。
現在は、グローバルでの販売体制の整備などに本格的に取り組む段階に来ており、気の抜けない状況が続く。それでも、「新しいビジネスをつくっていくのは、本当におもしろくてやりがいがある」という。興味をもったことには、とことん集中して向き合うタイプで、湧いてきたアイデアを実現するために必要なことがあれば、躊躇なく行動に移す。キャリアの序盤は、そんな性格が災いして体を壊してしまったこともあったが、今や自分自身をマネジメントする術も身につけた。「昔はご飯を食べずにずっと仕事をしたりしていたけど、ビジネスパーソンとしても女性としても、後輩への参考例の一つくらいにはなれるような道を歩みたいから、それではいけないなと。頭を使って効率を上げるように考え方を変えた」。
ちなみに、グローバルなビジネスに携わり、海外旅行も大好きだが、海外勤務の願望はない。「まさにITの力で、日本にいてもグローバルな仕事ができる時代になったことを体現したい。海外に出たいという人は社内にも多いけど、私みたいな人間が一人くらいいてもいいと思う」と微かに笑う表情には、少しの照れと確かな意志の強さがにじむ。(文中敬称略)
プロフィール
大門 恭子
大門 恭子(だいもん やすこ)
2004年、慶應義塾大学(文学部図書館情報学情報メディアコース)を卒業後、富士通に入社。データセンターアウトソーシング、企業システムのリモート運用代行サービス、大手・中堅企業向けのクラウドサービスなど、富士通のデータセンターを活用したサービスの販売推進に従事。今年6月より、「K5」の販売推進担当に。