ロシア・シベリアの研究学園都市ノヴォシビルスク。ここで物理工学の研究に従事していた父親が、東北大学の招聘で家族とともに来日することになった。ベロスルドフ・イアロスラフが6歳のときだった。海外の大学から声がかかるほどの著名な研究者。ベロスルドフは、今でも父親を心から尊敬している。
しかし、父親と同じ研究職の道は選ばなかった。大学の研究室に閉じこもり、日夜研究に没頭する父親の背中を見て育ったベロスルドフだが、地道な研究活動よりも、華やかな世界にあこがれていたからだ。
大学に進学すると、ベロスルドフは競技ダンスに没頭し、2014年の全日本学生競技ダンス選手権大会・ワルツ部門で優勝を果たす。華やかな世界でトップに立ったものの、ベロスルドフにとってゴールではなかった。
「父親のことは尊敬するが、自分の居場所は研究室ではない。競技ダンスも違う。やはり、実社会で結果を出したい」として、卒業後はFAXサービスを中心としたマーケティング/営業支援のネクスウェイに入社した。クラウドやモバイル全盛の今でも、さまざまなビジネスシーンでFAXや郵送、電話が必要とされている。伝統的なビジネスだが、市場開拓の余地がまだ十分にある。
例えば、介護施設に営業をかけるとき、特別養護老人ホームなのか、認知症対応なのかでニーズは違う。同じ飲食店であっても、業態によってFAXの運用が異なる。いずれも顧客を知らなければ提案できない。だから、「自分でフィールドに出て、地道に実態を探ることが大事」とベロスルドフ。競技ダンスのような華やかな世界ではないが、充実した日々を送っている。
「将来は自分でビジネスを興したい」と公言するベロスルドフ。アプローチこそ違うものの、そこには父親の背中を追う息子の姿があった。(敬称略)
プロフィール
ベロスルドフ・イアロスラフ
(Belosludov Yaroslav)
1991年、ロシア・シベリアのノヴォシビルスクで生まれる。97年、来日。2015年、法政大学卒業。同年、TISインテックグループのネクスウェイに入社。企業の営業・マーケティング支援に従事。