目利きとして新規プロダクトを発掘し、ビジネスを立ち上げる。この事業開発のポジションに就いて約3年。加藤学は、クラウドバックアップ「Druva」やデータ管理基盤「MapR」、データベース「MongoDB」など、数十点の製品展開を導いてきた。「誰も知らないプロダクトが日本で認められていく過程をみることが楽しい」。商業的な成功はもちろんだが、その根っこの部分に関われることに大きなやりがいを感じている。

年間で約1000社のプロダクトを調査するが、ビジネスとして形にするのは数点のみ。目利きの役割は重要だ。一方で、そのスキルはマニュアル化が難しい。業界の変化が激しいからだ。数か月で業界地図が変わってしまうため、ある時点での手引きに沿った評価は意味をなさないのだ。そこで、商材を発掘し、ゼロをイチにするうえで加藤が大事にしているのが「現場感覚」だ。
「新しいものをつくる仕事がしたい」との想いで、大学卒業後はエンジニアの道を選んだ。しかし、日本のIT業界は多重下請け構造。開発者として入社した最初の企業では、「仕様だけが落ちてきて、それに沿ったプログラミングをするだけ」。何のために何をつくっているのかを、社内の誰も知らなかった。「いろんな役割を経験して全体を理解しなければ、いいものはつくれない」。そう加藤は実感し、戦略的に転職を繰り返した。エンドユーザーの運用監視部門や大手SIer、ハードベンダーなど、最下流から最上流まで現場をみてきた。幅広い業務経験を積んだからこそ、エンドユーザーやSIer、ハードベンダー、ディストリビュータと、それぞれの立場で商材を捉えて、総合的に評価することが可能になった。これが加藤の最大の強み。現場感という確かなコンパスを頼りに、絶えず変化する地図上で新たな可能性を模索していく。(敬称略)
プロフィール
加藤学
(かとう まなぶ)
1979年生まれ、山梨県出身。日本大学理工学部物理学科を卒業後、システム開発や運用保守など一連のIT関連業務を複数の企業で経験。2009年4月、ソフトバンク コマース&サービスに入社し、VMwareを中心とする仮想化ソフトウェアのプリセールスを担当。3年ほど前から、新規商材の発掘や日本国内への展開を立ち上げる事業開発の役割を担う。