
潘時俊は、小学生のときに初めて日本とのかかわりを持った。友達が日本のゲーム機を持っているのを見て、親にねだって買ってもらったことがきっかけだった。
「これは面白い。どのような仕組みになっているのか」。ゲームに熱中する傍ら、ゲーム機の構造にも興味を持った。次第に「将来はコンピューターについて勉強したい」という思いが芽生えた。
大学に入り、再び日本とのつながりが生まれた。日本語の授業で日本人の教員と出会い、「日本に興味があるのなら、日本に行くといい」と言われた。大学卒業後、北京市内でソフトウェアエンジニアとして経験を積み、数年後に来日することを決意した。
日本で暮らし始めると、新たな発見の連続だった。旅行で訪れた京都では、かつての中国の文化を感じた。日本の料理は、寿司と刺身だけではなかった。多くの日本人と交流を深め、割り勘の文化に驚いた。経験を積むにつれて「日本は漫画とゲームの世界だけではなかった」と実感した。
日本で6年間生活し、2011年に帰国した。16年には、オフィス自動化システムの領域で、中国トップシェアを誇る上海市の大手ソフトウェア会社・泛微に入社。現在は日本チームの担当者として、中国に進出する日系企業の開拓に尽力している。
重要な局面を控えたときは、北京ダックを食べて験を担ぐ。忙しい毎日だが、妻と8歳の息子と過ごす週末が何よりの幸せ。息子の成長を見ながら「もっと仕事を頑張らなくては」と闘志を燃やす。日本との関係を大切にして、日中友好の懸け橋になることが目標だ。(敬称略)
プロフィール
潘 時俊
(Shijun Pan)
1980年1月、中国安徽省生まれ。北京工業大学電子技術科卒。日本向けソフトウェア開発会社や日系IT企業の北京拠点で勤務した後、来日。富士ソフトと富士通ソリューションで勤務し、2016年12月に泛微に入社。現在は日系企業の新規顧客開拓を担当している。