「使いやすく、高い検知率」で需要獲得
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ジュニパーネットワークス 小川直樹マネージャー |
ミック経済研究所が、6000社のユーザー企業に対して調査を行った結果、セキュリティアプライアンスを導入している1928社のうち、IPSを導入している企業は48社にとどまった。導入の中心を占めるのは、1000人以上の大企業である。ミックの河村昌司調査第四部部長は「法規制に絡んでいたとしても、売り上げに貢献しないソリューションなので、自社が被害を受けなければ、基本的にはユーザーにとっての優先順位は低い。また、ファイアウォールとアンチウイルスを入れておけば事足りると考えている企業が多いようだ」とみる。
IPSは高い技術を必要とする製品も多く、「難しい」「高い」「誤検知が多い」という課題が敷居を高くしているという。IPS機能を搭載したサービスゲートウェイ「SRXシリーズ」と、IDP(侵入検知防御システム)の専用アプライアンスを提供するジュニパーネットワークスのマーケティング本部エンタープライズソリューションマーケティングの小川直樹マネージャーは「さまざまなポリシー設定が必要になってくるので、コンサルティングしながら提供するケースが多い」と実態を語る。ジュニパーの製品も、やはり玄人好みの製品だという。
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マカフィー 中村穣マネジャー |
ジュニパーでは「SRXシリーズやIDPの販売については、SIパートナーと協業して、パートナーからコンサルティングを提供する仕組みや、顧客ごとにポリシーの設定を提案するドキュメントなどを提供することを視野に入れている」(小川マネージャー)という。とくにSRXシリーズについては、さまざまな機能が搭載されているので、ユーザーにツールの提供などを検討する機会を与えて、製品導入の敷居を下げることを考えている。
一方、製品そのもののデフォルト設定で、高い検出率を実現しているのがマカフィーだ。IPSは設定次第で、どの製品も検出率を上げていくことが可能だという。だが、企業のIT管理者は、さまざまなセキュリティ機器をまとめて管理していることが多く、その機器の専門家としてIPSを使いこなせないことから、使いやすいものが望まれている。そこで、「誤検知が発生しにくい推奨設定を練り上げていき、デフォルト設定でも高い検知率を実現した」(中村マネジャー)。同社はハイタッチセールスにより、ユーザー企業のIT部門トップに対して、直接的に、セキュリティのあるべき姿を分かりやすい実例を交えて提案するとともに、「ユーザーのインフラ更改のタイミングでシステムに組み込んでもらえるように、NIerとの関係を強化していきたい」(マーケティング本部フィールドマーケティング部パートナーマーケティングの堀口正裕氏)と考えている。
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マカフィー 堀口正裕氏 |
一方、シスコシステムズは脅威にいち早く対抗するための機能を搭載する。レガシーOSだけでなく、IPv6を標準搭載した最新OS「Windows 7」の場合、不正通信がIPv6を通り抜けていくことがあるという。シスコシステムズでは、このIPv6のリスクも防御するほか、「グローバルコリレーション」機能を搭載することによって、最新の脅威に対応する。ユーザーに導入したシスコ製品から送られてくる情報を収集し、危険なトラフィックを分析して、シグネチャとして配信する仕組み「SensorBase」を提供している。これは世界のトラフィックの3割をカバーしているという。
また、シスコでは、同社製品を使用してセキュリティ監視サービスを提供する「Cisco Managed Security パートナー」であるラックと密に連携し、サービスとしての拡販を狙う。これにより、セキュリティの専門家による高いセキュリティを維持することが可能になる。藤生マネージャは「なかなかIPSの必要性がわかってもらえない。Windows XPもサポートが切れるので、啓発セミナーを積極的に開いていきたい」と話している。
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