コピー・プリンタ編
5秒でわかる2012年のトレンド
・インクジェットプリンタが有望商材に
・プリンタ以外の関連商材の充実を図る動き
・コピー・プリンタ+クラウドの融合が注目株
機器販売は微成長、新商材に活路
インクジェット、コア技術、クラウドが鍵 ビジネス向けインクジェットに期待
新しい用途向けで 国内コピー・プリンタ市場は、リーマン・ショック以降、「コスト削減・省電力」をキーワードに一時的に伸びの兆しが見えていた。しかし、2011年は、東日本大震災の影響で再び減速へと向かっている。調査会社のIDC Japanによれば、11年はレーザープリンタ全体で若干減少し、なかでもカラー機が前年比で13%の大幅減になると予測している。一方、同じく11年はデジタル複合機(MFP)とビジネス向けインクジェットが伸びた年でもあった。12年のメーカー各社の予測は、全体として、依然として成長の兆しはみえず、よくて横ばいと予想している。
コピー・プリンタメーカーにとって、ここ数年の課題となっているのが、機器単体で販売するビジネスモデルからの脱皮だ。12年は、この傾向が本格化に向かう年になりそうだ。ブラザー販売は「総合プリンタメーカー」への衣替えを目指す。伸び盛りのインクジェットとレーザーでも、ラインアップを拡充し、得意分野のラベルプリンタなどを加えた商材を揃える。シングルファンクションでブラザー販売の競合となるエプソン販売は、11年中にインクジェットとレーザーの両製品を大量投入した。12年は、この新製品を市場に浸透させる年となる。とくに同社が強化しているのが、インクジェットだ。ビジネスインクジェットプリンタを前面に打ち出し、新たな利用用途や一般オフィスへの浸透を図る。
ブラザー販売がFAXなど通信技術を最大限利用したプリンタ関連の商材を揃えているのと同様に、エプソン販売も、同社のコア技術であるインクジェットやセンシング、プロジェクタなどを活用したデバイスの開発・販売で、パートナーが販売できる“弾”を多くする。
円高・ユーロ安が懸念材料に
新興国への進出が加速 一方のコピーメーカーは、より一層、ソリューション・サービスベンダーへの道へと舵を切る。3月11日の大震災以降、事業継続計画(BCP)、省エネルギー、省力化に対するニーズが拡大。MFPを中核にしたクラウドコンピューティングや各種製品・サービスを融合させた商材を積極的にパートナーへ提供する。富士ゼロックスは11年後半に独自のクラウド・サービスを発表。震災後のワーキングスタイルの変化を捉え、いつでも・どこにいても・どの端末からも、セキュアに印刷できる環境を整備。12年に創業50周年を迎えるのを機に、事業展開を一新する。
コピー・プリンタ業界では、キヤノンやOKIデータなどがタイ現地生産で洪水の影響を受けた。現在は、他の地域で代替生産体制などを整え、正常に戻りつつあるが、12年前半まで影響は残りそう。さらには、欧州経済危機が欧州に市場をもつメーカーに悪影響を及ぼす懸念もある。円高・ユーロ安など金融危機も、世界の投資意欲を減退させる危険性をはらんでいる。IT投資の優先順位が下位にあるコピー・プリンタの整備は遅れる恐れがある。
ただ、中国など新興国での需要を期待するほか、グローバル展開する国内企業への対応で、新たな需要の取り込みに期待がかかる。富士ゼロックスは、国内営業担当の教育体制を見直し、グローバル展開する国内企業の要求にも応え、世界のグループ会社と連携を取り、均一のドキュメント環境を提供できるようにする。OKIデータは、南アメリカや豪州などの地場ディーラーとの連携を積極化し、新興国などの開拓を急ぐ。円高傾向が続くことが予測されるなか、世界の現地生産体制も拡大しそうだ。12年は海外市場の拡大も、戦略上、重要なキーワードになっている。