売り出し中の国産製品がずらり
“日本仕様”をアピール
インフォテクノスコンサルティングは、2003年から「Rosic(ロシック)人材マネジメントシステム」を開発・販売している。「発売当初は売れずに苦しんだ」(大島事業部長)。リーマン・ショックが襲った2008年頃を境に、問い合わせ内容が「人事・給与システム」から「人材マネジメントに活用できるシステム」に変わった。
タレントマネジメントシステムを、「人材の価値を引き出してサポートするシステム」と位置づけ、大量のデータ処理・検索、グローバル規模での情報共有を可能にするシステムを指向している。後継者育成のあり方や最適な人事構成を示すのがシステムの役割だという。2012年に入り、「Rosic」を“人材情報のBI(ビジネスインテリジェンス)”と謳っている。例えば、3年後に人件費はどうなるのか、個人属性を組み合わせて、分析シミュレーションに利用できる。
宮城県に本社を置くサイエンティアの「SmartCompany」は、人材情報のデータベース化から目標管理、人事評価、キャリア開発まで人材マネジメント全般を網羅する。最近、大手メーカーの技術部門からの引き合いが目立つという。とくに強みとしているのが目標管理。藤井取締役は、「日本企業の場合は期中の異動や兼務が少なくないが、『SmartCompany』はプロジェクト別に目標管理の評価シートを複数作成できる」とアピールする。職種や役職、商品、地域など、職務経歴は最大七つのキー(キャリアタグ)でデータベース化し、キャリアタグごとに検索できる。
カシオヒューマンシステムズは、“人財活用支援システム”と銘打った「iTICE(アイティス)」を開発・販売している。「iTICE」について佐藤統轄部長は、「人、変化、組織を見える化する。PDCAサイクルを回す仕組みを提供し、タレントマネジメントを実践する土壌になる」と特色を語る。採用や配置、研修や評価などの社内に散在するデータを集約し、ユーザー企業が独自の尺度で評価指標を作成することができるという。
●既存のパッケージで網羅 人事管理システムの豊富な実績をもつERPベンダーの担当者から挙がる声の多くは、「タレントマネジメントが話題だが、従来からパッケージに同等の機能を組み込んでいる」というものだ。大企業向け人事・給与システム市場で高い支持を得ているワークスアプリケーションズは、「COMPANY Web Service」や「COMPANY Learning Management」「COMPANY 人事・給与」の人材配置機能を組み合わせることで、人事考課やキャリア情報を管理して、最適な人材配置ができるように支援する。
富士通マーケティングは、中堅・中小企業向けのERPである「GLOVIAsmart」やeラーニング、キャリア開発パッケージなどを駆使して、人材活用の支援を謳っている。人材ダッシュボードに、企業の人員バランスや有価証券報告書に記載する事項を表示する。適正人数の把握やコンピテンシー分析、業績達成率と個人評価との関連性分析などもできる。「富士通の実務的なノウハウが生かされている」(渡辺雅彦・常務理事ソリューション事業本部副本部長)。
「SuperStream-NX 人事給与」にタレントマネジメント機能を実装したのはスーパーストリームだ。スキル管理機能やスキル検索機能、シミュレーション機能など、タレントマネジメントに求められる機能を装備している。登録した情報をもとに現場で求められる人材を検索し、シミュレーションを通じて人材配置の策定に役立てることができる。山田誠マーケティング企画部部長は、「ムダをそぎ落とした構成」だとして、「eリクルーティングのような外資系のタレントマネジメントシステムの機能は果たして必要なのか、という疑問があって『SuperStream-NX 人事給与』には実装しなかった」と語る。
記者の眼 タレントマネジメントを中心とする人材管理ソリューションが企業の注目を浴びている。外資系ITベンダーは、グローバル化に伴う人材管理の改革を謳い、支持を高めている。一方で、日本企業特有の組織管理を踏まえた国内ITベンダーも勢力を拡大している。
日本では、崩れつつあるとはいえ、「終身雇用制」「年功序列制」の慣行がまだ根強く残っている部分があるし、鳴り物入りで導入された「成果主義」も多くが失敗したという経緯がある。個人の能力よりも組織の力で繁栄を築いてきた日本企業の人事のあり方が、そう簡単に変わるとは思えない。そこに、独特の慣習や風土を知り尽くす「国産」の人材管理ソリューションが入り込む余地がある。
とはいえ、グローバル進出に伴なって、企業が抱える人材も国際化していくことは間違いない。その流れにあって、国産の人材管理ソリューションを提供する国内ITベンダーは、グローバル対応の施策を打ち出すことが求められる。