海外ビジネス
東アジアへの進出が続く
2015年は積極的に投資する
多くの日本企業が海外進出に取り組んでいるなか、ITベンダーも海外ビジネスを拡大しようと躍起になっている。現状では、売上比率が全体の1ケタ前半にとどまっているITベンダーが多いが、ASEANをはじめとした新興国に参入するために、2015年は積極的に投資する傾向がみられる。
現在、海外ビジネスでメインの地域は米国との回答が多かったものの、米国は市場開拓という点では競合が多いことから、ビジネス拡大を図るには難しい地域として定着している。また、中国に関しては日中間の政治問題によってビジネスを縮小することを決断する動きもあって、少し熱が冷めた状態にある。このようなケースは、中国企業を相手にシステムを構築しているのではなく、日本企業の中国進出をシステム構築で支援していたITベンダーに多いようだ。一方、中国現地の企業をユーザーとして獲得しているITベンダーは、当たれば大きなビジネスに発展するとの判断で、積極的に投資を進めている。なお、欧州でビジネスを拡大するとの回答は、皆無に等しかった。
米国や中国という、これまで主戦場だった地域でのビジネス縮小を補てんする地域がASEANだ。しかも、ASEANと答えたITベンダーの多くが、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムと全方位でビジネスを加速しようとしている。また、ASEANを攻めるための拠点をシンガポールにつくるというITベンダーも多い。ASEANでは、日系企業へのシステム構築にとどまらず、現地の企業をユーザーとして早期に増やす動きが出ていて拠点の設置を急ぐ。そういった意味で、2015年は積極的に投資する流れになっている。インドに可能性を求めるITベンダーも多かった。
新トレンドへの取り組み
クラウドを絡めたビジネスを加速
3年後には2ケタ成長を遂げる
「ソーシャル」「モバイル」「アナリティクス」「クラウド」、いわゆる「SMAC」という新しいトレンドを柱の一つに据えて大きく成長しようとしているITベンダーが多い。とくに、クラウドを絡めてビジネスを加速する動きが活発になっている。
現在、ITベンダー各社の新トレンドの売上比率は、1ケタ後半が多く、柱の一つに育っていないというのが実際のところだ。しかし、オンプレミス型システムの導入費用が高いという理由から、クラウドの導入を意識するユーザー企業が増えているなか、ITベンダーとしても製品・サービスを提供するうえでクラウドが欠かせない商材になっている。実際、約5割のITベンダーが力を入れている新トレンドとしてクラウドを挙げている。
クラウドに次いで回答の多かったモバイルは、クラウドを提供するうえでフロント部分の役割を果たすという理由で力を入れているという傾向がある。また、モバイルのデバイスだけを販売しているケースでも、例えばディストリビュータであれば販社が開発したアプリケーションと相性がいい端末を一緒に検証して、最適な状態でユーザー企業に提供するというビジネスも出てきている。
新トレンドの売上比率目標として、3年後に掲げているのが10%以上で9割近くを占めている。新トレンドを主力に据えて、他社との差異化を図っていこうとする動きもすでに出てきている。
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