NEC グループの総合力でVRに取り組む「お試しパック」で顧客にまず使ってもらう
●NECグループを横断して連携 NECは今年10月、「法人向けVRソリューション」の販売を開始すると発表。VRビジネスを本格化させた。
NECがVRビジネスを始めたのは2014年。VR事業を立ち上げたのは、SIerであるNECソリューションイノベータの森口昌和・イノベーション戦略本部次世代ヒューマンインタラクション事業推進室主任だ。NECグループ内で実証実験を繰り返し、事例がまとまってきたところで、VRソリューションの提供へと踏み切った。その際、通信やオフィスソリューションを手がけるNECネッツエスアイや、プロモーションに強いNECマネジメントパートナーと組織横断的に連携。その取りまとめ役をNECが担うという、グループ力を存分に生かした体制を整えている。NECの野中崇史・SI・サービス市場開発本部コンテンツソリューショングループ主任は「グループ間、部門間でノウハウを共有して、(新たなビジネスを生み出せるような)変化をつけられるようにした」という。

写真右から、NECの小畑独史氏、NECソリューションイノベータの森口昌和氏、NECの野中崇史氏、NECネッツエスアイの大室慶太氏、NECマネジメントパートナーの春山仁志氏、翠川恒夫氏
●個別の利用シーンから提案 ソリューションの提供にあたっては、「トレーニング(技能伝承、危険作業)」「シミュレーション(ユーザビリティ、レイアウト)」「コミュニケーション(共同作業確認)」「セールス・プロモーション(観光、施設・製品紹介)」の四つの利用用途に分類。顧客の要望に応じてVR空間を個別に構築し、OculusやHTCなどのヘッドマウントディスプレイやVR用PCと組み合わせて提供している。
なかでも、「トレーニング」と「シミュレーション」に対しては引き合いが多いという。NECソリューションイノベータの森口主任は、「NEC内で実証実験を行ってきたことから、トレーニングとシュミレーションに関しては多くのノウハウがある。提案する機会も多い」と説明する。

NECソリューションイノベータの「梱包トレーニング」。赤色で示すものを手で順番に掴むことで、作業のトレーニングができる。
また、NECネッツエスアイ テクニカルサービス事業本部テクニカルサービス販売推進本部ビジネス開発グループの大室慶太氏は、「顧客からは『まず使ってみたい』との声が必ず聞かれる」と話す。そこでNECでは、最短2週間からVRをお試し利用できる「VRお試しパック」を用意。VRの導入を検討する顧客に対して、VR対応PC、HMD、モーションコントローラの3点を有償で貸し出す(VRのサンプルコンテンツは無償)。NEC SI・サービス市場開発本部の小畑独史氏は、「法人向けVRで何ができるのか、まずお客様の方で体験いただきながら社内でディスカッションしていただいたうえで、(NEC側が)要件をヒアリングし、個別の提案をさせていただく」と説明する。VRのビジネスは、利用シーンの提案、ユーザーの体験、業務に合った使い方の提案のフローで行っているとのことだ。また、お試しパックについては提供を開始した時点から反響が大きく、「すでに何社から発注をいただいている」と好感触の様子だ。
来年以降、VR活用はさらに加速
「昨年までは、(顧客に)VRを紹介しても、『VRって何?』という声が多かった。しかし、今年に入って一般の認知が広まったことで、今は案件が進みやすい。来年は一気に事例の公開ができるようになるだろう」(NECソリューションイノベータの森口主任)という。VR元年で盛り上がり、市場立ち上げの動きが活発化していくもようだ。

NECネッツエスアイのオフィスの360°画像。オフィスのなかを体感をもって確認できる。
セールスプロモーションに利用可能
今後の展望について、NECマネジメントパートナー マーケットコミュニケーション事業部第三マーケットコミュニケーション部コミュニケーションプランニンググループの春山仁志氏は、「(10年前にはなかったスマートフォンのように)VRも5年10年先にはあたりまえのものになっていると思う。プロモーションは主に外向けだが、インナープロモーションも含めてVRが使える部分はあるだろう。今後、活用範囲はさらに広がっていくと考えられる」と話す。また、同部アカウントプランニンググループの翠川恒夫氏は、「今までもVRの波は何度かきていたが、プレイヤーが揃わず、そこまで普及しなかった。しかし現在はプレイヤーが多く、今後は間違いなく普及していく。そこにわれわれも乗り遅れないようにしたい」と意気込んだ。
[次のページ]