コーディング作業を最小限で、もしくは全く行わずにソフトウェアを開発できる、ローコード/ノーコード開発ツールに注目が集まっている。デジタルトランスフォーメーションの流れの中で、これらのツールがユーザー企業による情報システムの「内製化」を加速するのではないかと見られているからだ。一方、受託開発を中心としていたITベンダーの間でも、ユーザーの内製化を後押しする動きが現れ始めた。内製の時代、ユーザーにベンダーが“伴走”するとしたら、それはどのような形になるのだろうか。
(取材・文/指田昌夫  編集/日高 彰)

内製化を加速する二つの潮流

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の機運の高まりとともに「日本企業のITは外注化率が高すぎる。内製化を進めるべきだ」という意見が以前にも増して聞かれるようになった。

 ガートナージャパンでシニアディレクターを務める飯島公彦アナリストは、日本企業におけるシステム開発の内製化には、二つの側面があると話す。一つは、IT部門が自ら開発力を持つことで、昨今の環境変化と、その対応に必要なスピードを手に入れることだ。
 
ガートナージャパン 飯島公彦 アナリスト

 「企業のIT部門は、SIerに“丸投げ”していると、何かあった時に自分たちだけでは対応できなくなることに危機感を持っている。外注の場合、原因究明にもSIerへの電話一本から始めるしかない。そしてその返答を待つこと1週間……というもどかしさがあった」

 その中で起こった、新型コロナウイルスの感染拡大が、この懸念を一気に加速している。

 そしてもう一つが、DXで業務のデジタル化を推進するに当たり、システムを現場主導で開発しようという動きだ。

 これまで多くの企業では、社内のIT部門が窓口となって、業務部門の現場で利用するシステムの開発を進めてきた。しかし、多くの企業でIT部門には潤沢なリソースがないのが事実だ。元々IT部門は、企業全体の情報システムのメンテナンスを主業にしてきたため、個別の業務部門の細かい要求はどうしても後回しになりがちという事情があった。