――前回のインタビュー(2020年5月)は最初の緊急事態宣言の直後で、先行き不透明な状況への警戒感について言及されていた。その後の推移を含めたアップデートを。
当時、一旦止まった案件も7月には動き出し、昨年度(21年3月期)も今年度も予定通りの成長ができている。お客様もコロナとの付き合い方を学び、IT投資についても意思決定がスピーディーになった。クラウドのスピード感や初期投資のコストメリットが当社のクラウドインテグレーターとしてのビジネスにも追い風になったと見ている。
代表取締役社長
岩永充正
――昨今の市場でアイレット特有の強みを発揮してきた部分は。
デザイン、開発、構築、クラウドサービスのリセールなど、ワンストップで提供できる強みがより生きる市場環境になっている。直近では開発レイヤーの需要が特に高まっていて、開発事例が増えると市場の注目も高まり、お客様からのインバウンドでの引き合いが増えるといういい循環が生まれている。
AWSを主軸に幅広い需要に対応
――米ラックスペース・テクノロジーと提携するクラウドマネージドサービスである「Rackspace」が本格的に立ち上がり、AWSに加えて21年にはKDDIの自社クラウドサービス「KDDIクラウドプラットフォームサービス(KCPS)」にも対応した。
この先需要が高まる兆しが見えている段階だ。間もなく「Microsoft Azure」にも対応する予定だが、これをRackspace事業の突破口にしたい。親会社のKDDIが21年11月にマイクロソフトのLSP(Licensing Solution Partner)認定を受け、マイクロソフト製品のビジネスを強化していく方針で、相乗効果が期待できる。Azureで事例が増えればAWSやKCPSにも波及するだろう。
――22年の事業方針は。
一緒に成長してきたAWSを主軸にすることに変わりはないが、より幅広い需要に応えていく。以前からの主力であるクラウドマネージドサービス「cloudpack」をはじめ、ワンストップでサービスを提供できる強みを生かして事例をつくり、インバウンドで回していくビジネスはまだ飽和していない。課題は人材採用で、21年から外資のコンサルファームなどとも競合するようになってしまい若干苦しくなった。アイレットらしい採用を拡大していく必要がある。
KDDIの中期計画が間もなく発表されるが、これとの連動も一つの軸になる。前述したRackspaceのAzure対応だけでなく、マイクロソフトのSaaS製品のインテグレーションなども非常に大きなビジネスとして期待できる。KDDIグループ内のシナジーを生かして成長をさらに加速させたい。