――足元のビジネスの状況は。2021年度(21年12月期)上期は前年同期比5%の減収となった。
20年度の上期はコロナの影響が全くなかったが、下期からIT投資を控えたり意思決定を遅らせたりといった動きが目立つようになりインパクトが出てきた。21年度の上期もそれを引きずったかたちになったが、上期の終盤では企業が積極的にITインフラの強化に投資しようという気運が高まり、市況回復感が出てきた。事実、第3四半期は好調に推移している。
代表取締役社長
森田晶一
ただし、コロナの感染状況も落ち着いた第4四半期に思わぬ向かい風が吹いた。電子部品の不足が深刻で、ネットワーク機器やコンピューターだけでなく、ストレージ系にもその影響が及んできた。値上げが多発し、ソフトメーカーにも便乗値上げを疑いたくなるような動きが目立つようになり、お客様のIT投資意欲に水を差すことになってしまった。21年度は若干厳しめの着地になりそうだ。ただし、来年度に向けてIT投資を積極的にしていくというお客様は多いので、悲観はしていない。
インフラの構成・運用自動化に注力
――現在伸びているビジネスは。
リモートワーク関連の案件は引き続き好調で、特にマイクロソフトが「Azure Virtual Desktop」や「Windows 365」を提供し始めたことは市場にいい刺激を与えているし、当社にも追い風となっている。シトリックスの補完ソリューションなどを一緒に提案できており、市場の評価も高い。
――21年10月に、オンプレ環境からAzureやAWSへの移行を支援するパートナー向けの新しいプロフェッショナルサービス「CloudPath Services」を開始した。
手応えは予想以上。さまざまなSIerから高く評価していただいている。見方によってはこのサービスによりインフラ製品の販売機会を失っている訳だが、IT業界をけん引するパブリッククラウドプロバイダーの技術をしっかりキャッチアップし、リセラーをきめ細かく支援していくことがネットワールドの差別化戦略だ。
――22年の重点施策は。
投資家の資金が最も多く流入し、ターニングポイントを迎えているセキュリティ業界については、何が有望なのか見極めが難しい段階。22年は何らかの方向性を打ち出していく必要があると思っている。また、ソフトウェア技術でインフラを定義して自動構成、自動運用を進めるような提案を、「HashiCorp」や(レッドハットの)「Ansible」などを核に拡大していきたい。
21年12月には米ギットラボと国内初のディストリビューター契約も交わした。DevSecOps環境整備も、DXに向けたシステム整備・運用の自動化の範囲を広げる重要な取り組みだと考えている。