ここ1~2年の間に、日本国内でもランサムウェアの被害が相次いで明るみになった。このリスクに対応するため絶対に必要となるソリューションがバックアップだ。最近になって多くの企業がバックアップ体制の見直しに着手しており、IT商材の中でもバックアップは動きが活発になっているカテゴリーだ。バックアップソリューションベンダー各社に最新の戦略を聞いた。
(取材・文/日高 彰、齋藤秀平、岩田晃久)

従来のバックアップでは復旧できないことも

 数年前まで、ランサムウェアを利用したサイバー攻撃は欧米を中心に報告されていたが、2020年後半ごろから日本でも被害が相次ぎ、いよいよ企業や政府・自治体をはじめとする国内のあらゆる組織において避けては通れないリスクとして認識されるようになった。大手ゲームメーカーの機密情報が“人質(ランサム)”にとられ暴露された事件や、標的となった病院が診察中止に追い込まれたり、自動車メーカーの取引先で起きたランサムウェア被害によってメーカーの全工場が稼働を停止したりといった、事業継続に重大な影響を及ぼす攻撃が多発している。

 ランサムウェアに対抗するために最低限必要となるのが、万が一攻撃に遭った場合に暗号化されたシステムやデータを復旧させるためのバックアップである。ほとんどの企業では、業務に必要な情報システムに何らかのバックアップソリューションを導入している。今や、データ保護の体制がまったく存在しないという企業のほうが少数派だろう。

 しかし、バックアップがあってもランサムウェアの被害を回復できず、事業の停止を余儀なくされるケースは少なくない。これには、バックアップが正しく取れていないという基本的なミスだけでなく、▽本番環境に加えてバックアップデータも暗号化されてしまう、▽リストアに必要な時間が長大、▽ランサムウェアに感染した後のバックアップしか残っていない、といったさまざまな理由が考えられる。

 ハードウェア障害や運用トラブル、災害などを想定した従来のバックアップではランサムウェア対策として不十分な場合もあることから、バックアップの体制を見直す企業が増え、バックアップソリューションベンダーへの引き合いは大きく増えているという。本特集では、代表的なベンダー各社に強みと販売戦略を聞き、今年度さらに伸長が予想されるバックアップ市場の動きに迫った。