4月末に発表された、SI事業を手がける大手電機メーカー3社の2021年度決算。長引くコロナ禍や半導体不足などの厳しい市場環境が売上高の足を引っ張る結果となったが、各社とも収益性の改善に取り組み、22年度以降のコア事業の成長には光明が見える。今後の業績の推移にも直結する、3社の21年度の取り組みを総括する。
(取材・文/日高彰、齋藤秀平、岩田晃久)

富士通
本業では大幅営業増益 22年度は過去最高益を目指す

 富士通の21年度連結決算は、売上高が前年度比0.1%減の3兆5868億円、営業利益が同17.7%減の2192億円、純利益が同9.9%減の1826億円で減収減益だった。同社では、20年度にあった携帯電話販売事業の売却益の反動減および、21年度の早期退職募集にかかった費用(650億円)は一過性の特殊要因だとして、この影響を除く“本業ベース”の営業利益は前年度比1割以上の増益となる2756億円だったとしている。
 

 半導体不足による部材調達の遅延や、前年度に金融や公共であった大型案件の反動減で、主力となるシステム開発ビジネスの「テクノロジーソリューション事業」で売り上げが伸び悩んだ。サービスとハードウェアを合わせて提供するハード一体型の案件が特に低調だったが、通信事業者による5G基地局への投資や、電子デバイス事業での旺盛な半導体需要といった背景もあり、トータルでの売上高は前年並みで着地した。

 採算性の改善に取り組んだことで、特殊要因を除く営業利益は大きく改善した。富士通グループの開発部隊を統合して始動した「ジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)」の活用を強化したことでシステム開発の効率が向上したほか、アジャイル開発の拡大や、保守作業のリモート化にも取り組んだ。海外でのサービス事業の拡大や、電子デバイス事業での操業改善などと合わせると、367億円の利益向上効果を生んだ。

 また、あらたなソリューションの開発や組織体制の強化、社内改革に向けた成長投資を前年度から450億円上乗せし、800億円を投じた。JGGおよび、オフショア開発や運用サービスを海外から提供する「グローバル・デリバリー・センター(GDC)」の強化、グローバルで提供する新たな商材のリリースなどで、既に200億円程度の投資リターンが得られているとしている。

 21年度業績に大きく影響を与えた半導体不足については、売上高で780億円、損益で310億円の下振れにつながったと算出している。部材の納入遅れが頻発したことで売り上げ計上のタイミングが後ろ倒しになる案件が出たほか、部材価格高騰の影響を価格に転嫁しきれなかったことが響いた。現在も厳しい状況が続いているが、不足部材の種類が絞り込まれてきたことや、価格転嫁の効果が徐々に表れていることから、22年度業績への影響は21年度よりは小さくなるとみている。

 22年度は売上高3兆7200億円、営業利益は大幅増となる過去最高の4000億円を見込む。デジタルトランスフォーメーション(DX)事業の拡大による売り上げの積み上げと、一層の採算性改善やコスト効率化による利益アップをねらう。また、21年度に実施した早期退職により、人件費は300億円削減される見通し。
 
時田隆仁 社長

 富士通では、同社全体のビジネスを、DX支援など新たな価値創造につながる「For Growth」領域と、システムの保守・運用など従来型IT事業の「For Stability」領域の二つに大別している。時田隆仁社長は4月28日の決算説明会で「22年度の目標達成に向けては、For Growthにおける売り上げの拡大と、For Stabilityにおける採算性の改善を中心に、施策を着実に実行していく」と述べ、かねてから掲げている「テクノロジーソリューション事業で営業利益率10%」の目標を達成する考えをあらためて強調した。

 しかし、同事業の21年度の営業利益率は6.3%で、10%の達成には相当の飛躍が必要となる。21年度のFor Growth領域の実績は20年度からほぼ横ばいで、近年のDX機運の高まりも目に見える成長にはまだつながっていない。大規模な構造改革などの利益改善施策は既に打ち尽くした形となっており、その効果が22年度に表れるかどうかで目標達成の成否が決まることになる。