――2022年のビジネスの状況は。
直接的、間接的の両方で、モノ不足によるプロジェクトの遅延が発生した。また、当社は3割以上、ドル建てで取引しているので、円安はそれなりのマイナスとして表れた。ただ、逆風はあったものの、ビジネスの中身としては思っていた以上に堅調に推移した。
ネットワールド
代表取締役社長
森田晶一
――印象的な成果は。
いくつかある中で、22年はセキュリティ事業の売り上げを伸ばすことに取り組んだ。いろいろなアクションを起こしてきた結果、一部で成果が出ている。例えば、会社のホームページなど、外部に見えている資産を脅威から守るアタックサーフェスマネジメントの領域は確実に立ち上がった。
――モノ不足の状況は。
ネットワーク系の部品は不足が続いている。一時期はサーバーも不足した。ストレージ不足は、まだいいほうだった。一部の部品不足がビジネスの遅延につながっている部分はあるが、全体としては改善の傾向がみられる。
マイナス変化から回復できる会社に
――23年の注力領域は。
22年からの3年間で、セキュリティ事業の売り上げを倍増させる計画を立てて、1年かけて品ぞろえを強化してきたので、既存製品を含めてニーズに応えていく。エンドポイントセキュリティでは、世界のリーダーである米CrowdStrike(クラウドストライク)とディストリビューター契約を締結したので、ビジネスの柱になることを期待している。アタックサーフェスマネジメントについては、23年はさらに伸びるとみているので、しっかりと力を入れる。
――クラウドビジネスはどのような戦略で進めるのか。
この1、2年で、パブリッククラウドへの投資効果に疑問を持つユーザーが出始めていると認識している。これからは、一つのクラウドを使うのではなく、複数のクラウドを組み合わせるマルチクラウドの時代になるとみている。クラウドの利用は、クラウドファーストからクラウドスマートの方向に変わりつつあるので、当社も変化に合わせて対応する。具体的には、マルチクラウド関連の技術を有している米VMware(ヴイエムウェア)のテクノロジーに追従したソリューションを提供しつつ、何社かのマルチクラウドソリューションのメーカーもしくはサービスプロバイダーとの提携を進めたいと思っている。
――23年の抱負を。
22年に会社のロゴを変えた。マイナス変化に対するレジリエンス(回復力)との思いを込めたので、この通りになるようにしたい。その上で、マルチクラウド時代をリードするスマートサービスディストリビューターを目指す。