Special Feature

劇的な進化を遂げる「Sansan」さらなる成長に向け挑むハードルとは

2023/09/07 09:00

週刊BCN 2023年09月04日vol.1983掲載

 Sansanは、ミッションとして掲げる「出会いからイノベーションを生み出す」の実現に向けて、働き方を変えるさまざまなDXサービスを提供している。中核となるのが、従来のクラウド型名刺管理サービスから、2022年に営業DXサービスに進化した「Sansan」だ。プロダクト刷新の背景や、さらなる成長に向けた課題を探る。
(取材・文/袖山俊夫  編集/齋藤秀平)
 

マーケットに自ら風を起こす

 Sansanのリリースは07年にさかのぼる。その後、多くの機能を追加。現在の利用企業数は8000社に上る。法人向け名刺管理サービスの市場では、Sansanは82%と圧倒的なシェアを誇っている(出典:営業支援DXにおける名刺管理サービスの最新動向2023/2022年12月シード・プランニング調査)。優位性の源泉はどこにあるのか。
 
小川泰正 執行役員

 執行役員でSansan事業部の小川泰正・事業部長は「社会に対して価値を提供し続けていくために、プロダクトとビジネスの両方の観点で、変化を恐れずに挑戦するというスタンスが大きな強みだ。マーケットに風が吹くのを待つのではなく、自ら風を起こしていくという発想で取り組んでいる」と紹介する。

 22年のプロダクトの刷新もその一環であったと捉えられる。小川執行役員は「背景には、20年から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大がある。大きな社会変容が起きたことで、名刺を交換する機会が一気に減少し、当社もかなり厳しい状況に陥った。ただ、そうした中でも、われわれは変化させていくことを心掛けた」と説明する。オンライン名刺交換やメール署名の取り込みなど、コロナ禍だからこそ必要な新機能を実装。その結果、コロナ禍であってもSansanのストック売上高や契約件数は順調に拡大することができたという。

 さらに「時代やニーズの急激な変化に対応する中で、多くの企業が売り上げを伸ばすことにかなり苦労していることを体感した。Sansanも名刺管理の領域を越え、営業活動を加速するためのサービスへと発想を切り替えていく必要があったため、単なる機能の追加でなく、営業DXへと進化させていくことを決めた」と語る。

 打ち出した新たなコンセプトは「営業を強くするデータベース」。併せて2点を強化した。一つは接点情報の拡大。もう一つは100万件以上の企業情報の実装だ。これにより、あらゆる顧客に関する情報を営業やマーケティング活動に生かせるようになったという。

 同社は、プロダクト刷新後も新機能を次々と実装してきた。その成果は着実に出ている。23年6月に取りこまれた接点数は過去最高の約980万、解約率は過去最低水準の0.44%、ARR(年間経常収益)は200億円を突破した。もちろん、一足飛びに実現できたと考えているわけではない。「営業DXサービスがPMF(プロダクトマーケットフィット)するよう、プロダクトからカスタマーサクセスまでを泥臭く回し続けているのがポイント。本当に薄皮を1枚1枚積み重ねた結果と言っていい」と小川執行役員は付け加える。

 ただ、現状にはまだ満足していないようだ。営業の生産性向上をさらに後押ししていきたいと、8月に新規顧客開拓ソリューションの提供を発表した。小川執行役員は「従来のSansanは顧客と接点を持った後、特に既存顧客へのアプローチにおける利用が中心だった。しかし、お客様が営業を強化しようと思ったときには、新規顧客の開拓にニーズがある。その成否を決めるのは営業リストだが、悩みが多い。それらを解決し、営業リストの入手・作成からアプローチまでを一気通貫で支援できるよう機能を拡充した」と解説する。

 具体的には三つの新機能がアップデートされる。一つめは拠点情報の追加。二つめは企業の最新動向に合わせて付与される企業動向タグ。三つめは営業リストの作成・共有機能だ。既にリリース済みの機能もあるが、順次開発が進められる予定だ。

 小川執行役員は「今後はこの新規顧客開拓ソリューションを定着させることが重要になる。一番ヒットすることが見込める営業企画やマーケティング担当の方々は、これまで当社がアプローチしにくかった層。ここを掘り起こしていきたい」とし、「その先でデータ統合やガバナンス、コラボレーションなどのソリューションを揃えることができたら、相当強いプロダクトになる。最終的には、ビジネスインフラになるのが目標だ」と抱負を語る。

 一方、Sansanがビジネスインフラとなるために乗り越えるべきハードルは何か。小川執行役員が注目しているのは、企業規模におけるカバー率の向上だ。現状、従業者数1000人以上の企業のカバー率は16.3%となっているが、1000人以上の企業で働く人を対象としたカバー率は4.5%。「このゾーンだけでも20倍ものマーケットの拡大余地がある」と力説する。
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