――2023年の振り返りを。
底堅いDXへの需要があるのに加えて、新型コロナ禍が落ち着き、日常が戻ったことで法人事業は順調に成長した。セキュリティやサーバーなど商材をカテゴライズして見ているが、すべてのカテゴリーで前年を上回ることができた。
代表取締役社長兼CEO 溝口泰雄
――IT市場では、生成AIが話題の中心となった。生成AIへの取り組みは。
クラウドベースの生成AIとオンプレミスの生成AIがあり、私は“ハイブリッドAI”と言っている。クラウドでは、23年、日本マイクロソフトと一緒に「Microsoft Azure」をベースに生成AIをどう活用していくかをテーマとしたセミナーを全国で開催するなど、取り組みを強化した。24年も同様にMicrosoft Azureのビジネスを推進していく。オンプレミスの生成AIの活用に取り組みたいという企業も出てきており、大きな成長が見込めるが、GPUサーバーの不足が課題となっている。この課題に対しては、23年9月に結んだ米Supermicro(スーパーマイクロ)との協業を通じて、GPUサーバーを安定供給したい。
成長を遂げるSaaSビジネス
――以前から注力しているSaaSビジネスの状況は。
クラウドサービスの契約管理を行うプラットフォーム「ClouDX(クラウディーエックス)」で連携するSaaSベンダーが拡大を続けており、順調に成長を遂げている。ただ、まだ多くのSaaSベンダーが直販をメインにしており、パートナーにビジネスを落とし込めていない。加えて、パートナーのSaaSへの対応が遅れているといった面もある。現状では、国内企業のSaaS利用は米国に比べると少ないが、今後、伸びてくるはずなので、引き続きSaaSビジネスの強化を図る。
――組織強化で取り組んでいることは。
AIによる自動見積もりや、AI OCRを本格的に導入するなど、業務の中でAI活用が進んだことで生産性が向上している。
新型コロナ禍では、社員の90%が在宅勤務だったが、現在では、30~40%の出社となっている。生産性を維持するだけなら在宅勤務のままでいいが、スキルアップして成長するには、リアルでコミュニケーションを取り、さまざまな経験をしていくことが重要だ。今後も、自由な働き方を担保していくが、その中で、社員が自己成長できる環境をつくっていく。
――24年の抱負を。
国内企業がAIを活用し、新しいことに挑戦していくマインドを出していかなければ、これまで以上に海外に後れを取ることになる。そのためにも、ハイブリッドAIへの取り組みに注力していく。次々と出てくる新しいソリューションを普及させていくことも重要だ。