SB C&Sは3月24日、記者説明会を開き、SaaSビジネスの戦略を発表した。パートナー専用のECサイトの立ち上げ機能などを提供する「ClouDX Platform Edition」、販売やマーケティングの支援を行うSaaS専任チーム「Cloud Service Concierge」により、パートナーがSaaSビジネスに取り組みやすい環境の実現を目指す。草川和哉・取締役専務執行役員は「来期はこの二つのサービスをしっかりやって、パートナーを支援する」と力を込めた。
(岩田晃久)
草川和哉 取締役専務執行役員
ClouDX Platform Editionでは、ECサイトの立ち上げ機能により、パートナーがサイト構築や製品の入れ替えなどに必要な手間やコストをかけることなくECサイトを開設し、サブスクリプション製品・サービスを販売できるという。管理機能により、エンドユーザーとの契約状況や受発注状況のリアルタイムでの確認や、商材により異なる課金体系の一括管理ができるようになるとした。草川取締役は「デジタルネイティブな世代が企業の要職に就き始めている。彼らはECに抵抗がなく、商品の絞り込みから購入までWebで完結させるため、BtoBにおいても、ECに手を打たなければならない」と説明した。
守谷克己 執行役員
2月にはパートナー限定で基本機能が利用できる「エントリー版」の提供を開始した。SB C&Sが厳選した商材をECサイトで販売でき、2年間、月額料金無料となる。現在は、既存パートナーに対してセミナーを開催するなどの提案を進めており、守谷克己・執行役員は「興味を持っていただくパートナーが多い」と語った。
今後は、自社製品の登録やマイページなどの機能が標準で利用できる「ライト版」、すべてのオプションを活用できる「プロフェッショナル版」、パートナーの代理店が利用できるライセンスを付与し最大で六つのサイトの開設が可能な「エンタープライズ版」の三つの有償版を提供する予定。将来的には、SaaSだけでなく、セキュリティやハードウェアなど他の商材もECサイトで販売できるようにする。
Cloud Service Conciergeは22年9月に発足したSaaS専任チーム。田中政和・リカーリングビジネス推進統括部長は「コンセプトはSaaSビジネスを身近なものにすること。パートナーがSaaSビジネスを行う上で、必要な支援を行う」と述べた。セールスや新規開拓、マーケティングなどの支援策を提供する。
田中政和 統括部長
事例では、SaaSビジネスを開始したパートナーに、情報提供と完全オーダーメイドの戦略策定を行ったケースや、SaaSの営業がいないパートナーに対して、SB C&SがSaaSに特化した専門営業チームを提供して営業体制の強化を図ったことなどを紹介した。また、ウェビナーを開催するのに必要な告知、申し込みフォーム、コンテンツ、アンケート機能をパッケージとして提供しており、パートナーは容易にウェビナーを開催できるとしている。
同社は、クラウドサービスの契約管理を行うプラットフォーム「ClouDX」の提供も行っており、受発注からサービス開通、課金、請求までを一元管理できる。守谷執行役員は「SaaSベンダーの多くはダイレクトセールスを中心に展開しているが、最近は、売り上げを伸ばしていくためにパートナービジネスをしたいというベンダーが増えている」と述べ、ClouDXと連携するベンダーが150社以上となったと紹介した。