――国内ビジネスの2024年の見通しはどうか。
足元の国内ビジネスの売り上げ規模は24年3月期で前期比2.8%増の1兆7000億円を見込んでいる。国内主要企業の業績はおおむね良好に推移しており、IT投資も継続して行われている。当社グループは国内の社会経済を支える中核システムを多数手掛けている。この領域で先進的な技術を積極的に取り入れて競争力を高めており、システム更改の動きが当社グループにとって追い風になっている。
代表取締役社長 本間 洋
――大規模システムの更改はいつ頃まで続きそうか。
社会経済を支える伝統的なシステムを先進技術を交えて更改していく動きは、30年頃まで継続するとみている。大規模システムの多くが中長期の計画を立てて更改が進んでいる。汎用機で動いていたシステムをオープン化する案件もまだ続いており、その際にはただオープン化するのではなく、先進的なデジタル技術を組み合わせることで、付加価値を高める取り組みにも力を入れる。
オファリング強化で需要に応える
――24年3月期は、NTTデータグループ初の連結売上高4兆円を超える見込みだ。
英国に拠点を置きデータセンター(DC)やネットワーク構築などを手掛けるNTT Ltd.(NTTリミテッド)が22年10月に当社グループに加わり、24年3月期は通期で連結されることが大きい。23年7月には国内事業会社と海外事業会社、持ち株会社のNTTデータグループの3社体制に移行し、国内外でユーザー企業や業種業態により密着した営業やサポートが行える体制にした。
――欧州・中南米のビジネスはどうか。
欧州も先進的なデジタル技術を既存システムに取り入れる流れが加速している。欧州は「非競争領域」と「競争領域」の区分けが明確で、企業の競争力に直結しない「非競争領域」は効率的で汎用性の高いオファリングを求める傾向が強い。当社はグローバルの知見をフルに動員して、その地域や顧客に合ったオファリングを創出して需要に応える。一方、「競争領域」はユーザー企業が勝ち残るための独自性の高いシステム提案に力を入れていく。中南米についても、オファリングと個別SIをうまく組み合わせることで引き続きビジネスを伸ばす。
――北米は、過度なインフレを抑制するため経済が減速しているが、どう対処するか。
北米は新規のIT投資に慎重になる動きが見られたが、今は投資マインドに回復がみられる。商談中だった案件に期ずれが生じたケースも見られたが、25年3月期は見込み案件をしっかり受注につなげられるよう努める。