──2024年の振り返りを。
当社は、「事業領域の拡大」「ビジネスモデルの進化」「リカーリングモデルの拡大」の三つの成長戦略を柱にしている。この成長戦略にしっかりとフォーカスし、やり抜けた。本年度(25年3月期)から親会社のソフトバンクのIRにおいて、当社がディストリビューションセグメントとして公表されるようになった。上期は、取扱高、営業利益ともに過去最高を記録した。
草川和哉
代表取締役社長兼CEO
成長を加速させるため、プラスワンのアプローチとして、社内でのAI利用の取り組みを進めている。まだ道半ばと思っているので、今後もこの部分はしっかりとアクセルを踏んで強化を図っていく。
──法人IT市場についてどうみているか。
商材を六つのカテゴリーに分けてみているが、どの分野も好調に推移している。特にAI関連は、AIサーバーの需要の拡大が続いており、本年度上期の外部顧客向けの売り上げは前年同期比で約5倍となった。販売パートナーのコンディションをみても、現在の市場環境は良い状況だと捉えている。
AIとセキュリティーに注力
──25年はさらにAIのニーズの拡大が見込まれる。
プライベートAIを利用する企業が拡大していくと肌で感じている。AI基盤をつくる上では、AIサーバー以外にネットワークやクラウドなどさまざまなプロダクトが必要となる。当社は「AIアラウンド戦略」として、メーカーとのアライアンスを強化して必要なプロダクトをワンストップで提供できる体制を構築している。加えて、選任チームによる技術面の支援を行うことで、AIの利活用を支援している。
サイバー攻撃による被害が拡大する中では、セキュリティーの重要性が高まっている。AIの利活用を進める上でも、安全性を担保することは大切なため、セキュリティーにも注力していく。
──組織強化での取り組みも教えてほしい。
当社は、スローガンとして「Innovation TOGETHER」を掲げており、「主体性」「挑戦」「共創」を行動指針としている。本年度は、この部分を言い続けてきたことで、社員にだいぶ浸透してきたと思う。24年12月には、Innovation TOGETHERのさらなる浸透と新たな企業カルチャーづくりを目的に全社推進チームを発足した。ボトムアップで社員と一緒に改革を進める。
──25年の抱負を。
三つの成長戦略+AIは継続して取り組んでいく。その中でも、AIビジネスの拡大に注力していきたい。日本のAI活用の遅れが危惧されているため、自分事として捉えて、流通を担う立場からAIアラウンド戦略をしっかりと押し出し、企業のAI利活用を支援することで、日本全体の底上げの一助になれればと思っている。