──2024年を振り返って。
生成AIにフォーカスした1年だった。5月のグローバルイベントで、企業に対してAIから価値を創造するフレームワークである「AI Factory」を発表し、その実践に注力してきた。AIは、多くのソリューションを組み合わせて実現する必要があり、特に重要なのがデータだ。データの整備が生成AIのかぎを握っている。AIを構成する最適なスタックを組み上げ、最適に動かすインフラの整備を支援してきた。
大塚俊彦
代表取締役社長
──国内企業の生成AI導入の状況は。
本格的な実装はまだこれからだろう。当社の調査では国内のエンタープライズ企業の約6割が実証段階で、これからいよいよ実装に入っていくことになる。基盤を支える中核のビジネスプロセスに生成AIを導入することで、より大きな価値創造に貢献できる。これを顧客企業と一緒に大きく進めていけたらと考えている。
──AIの実装支援で新たな取り組みは。
9月に東京に「AI Innovation Lab」を開設した。世界中のユースケースを蓄積し、どれが最適かの判断に貢献し、PoCができる設備も備えている。また、生成AIを活用する上で、顧客企業の一番の課題は人材だ。人材育成は急務で、ラボは最新テクノロジーを学ぶ場にもなっている。パートナーにも参画してもらい、チームジャパンでAIの活用を盛り上げる場として活用していきたい。
マルチクラウドの実装で成果
──市場全体の状況とビジネスの現況は。
国内はDXへの意欲が強く、IT市場のニーズは堅調だった。企業を支えるインフラとして、マルチクラウドの実装を進めてきたが、一定の成果がみられた。製品では、マルチクラウドの基盤として「PowerFlex」に力を入れており、多くの受注をいただいた。サーバーは、AIだけでなく適用範囲を広げるために製品を進化させている。
──顧客企業の課題をどう支援するか。
日本は人口減少が続き、ITの力を投入することで業務効率化を図ることが待ったなしになっている。そこにしっかり取り組んで大きな成果を出すという部分で、テクノロジー企業として貢献していく。日本発で画期的な事例をグローバルに発信したい。
──25年の方針は。
顧客に対してパートナーと連携し提案する姿勢は変わらず継続する。エンタープライズ企業や公共機関向けに生成AIの実装、展開スケールの支援が一つの柱になる。また、次世代インフラストラクチャーのプラットフォーム整備において、最大限の効果とコストパフォーマンスを出せる提案で、企業の成長を支援していく。