──2024年のビジネスの状況は。
中小企業については、クラウドへの移行がさらに加速した。基幹業務の周辺向けに提供している「スマート大臣」シリーズも好調だった。中堅企業向けでは、「大臣エンタープライズ」のSaaS版を年初にリリースし、新規顧客を中心に引き合いが増えている。インボイス制度関係の需要があった翌年だったため、当初は不安要素もあったが、結果的にはいい年になった。
原田明治
代表取締役社長
──クラウドの需要が高まっている要因は。
クラウドへの移行については今までもニーズがあったが、お客様から「オンプレミスではなく、クラウドで」と求められる機会が増え、クラウドはもはや当たり前の選択肢になっている。お客様の間で業務効率化を目指す動きが増えていることに加え、保守要員の確保が難しくなっていることも背景にあるとみている。
──大臣エンタープライズSaaS版に対するユーザーの評価は。
カスタムしていてもバージョンアップできる点が他社製品との差別化要素となり、お客様からの評価につながっている。リプレースに関する相談のうち、約4割のお客様がスクラッチ開発のシステムを利用している。法改正の度に大規模な費用をかけて開発しても、内容がほとんど変わらない場合があり、本格的にシステムを見直して無駄なコストを抑えたいと考えているお客様は多くなっている。
「スマート大臣」で新サービスを提供
──25年の注力点は。
大臣エンタープライズのビジネスでは、パートナーが構築した業種別モデルの拡充を進める。現在、建材や事務機器など向けのモデルがあるが、ラインアップを増やすことで、極力、簡単に導入できるようにしたい。パートナー同士の連携を促進するため、24年に開催した開発パートナーと販売パートナーをマッチングイベントは継続する。スマート大臣シリーズでは、業務全体の効率化につなげられる新サービスの提供を予定している。
──市場環境の見通しは。
企業のIT投資は25年も引き続き堅調に推移するとみている。ただ、案件が順調に獲得できたとしても、パートナー側の人員が不足しており、開発が追いついていない部分がある。パートナー同士のマッチングを推進し、そうした課題を乗り越えられるように支援する。
──25年の意気込みを。
中小企業向けでは、クラウドシフトを引き続き進める。デジタルコンテンツを拡充するなどして、お客様が利便性を感じながら大臣シリーズを使えるように環境を整える。大臣エンタープライズについては、3年をめどに現在の売り上げの1.6倍を目標としているので、大型案件の獲得を目指す。