Special Feature
増えるDCの電力需要、どう立ち向かうか 現場で進む省エネの取り組み
2025/07/28 09:00
週刊BCN 2025年07月28日vol.2069掲載
(取材・文/下澤 悠)

経済産業省
新設DCのPUE1.3義務化へ テナント型事業者も制度対象に
経済産業省の資源エネルギー庁は、2029年度以降に新設される一定規模以上のDCに対し、稼働後2年の経過以降、PUE※が1.3以下となるように運用する義務を定める方針だ。従来、DC事業者に対しては中長期計画書の提出や定期報告、PUE1.4以下を目標とするベンチマーク(BM)制度などが設けられていたが、さらなるDCの効率化を促すために新制度を加える。既存のDCなどに対しても、PUEの目標設定と報告、一部情報の公開などが求められるようになる。
省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課の川田沙梨・課長補佐は、「日本はそもそもエネルギー状況が豊かではなく、電力をどんどん使っていいわけではない。DCでは電力需要の大きな伸びが今後見込まれるが、消費エネルギーを減らす余地はまだある」と制度改正の理由を説明。一方で、ITやAIの活用によって国際競争力を高めることは重要視しており、「DCの誘致や新設は進めるが、何も歯止めがなければエネルギーの安定供給に支障が生じるかもしれない。両方のバランスをとって進めていきたい」と述べる。商務情報政策局情報産業課AI産業戦略室の今村萌音・室長補佐は、国が示した制度に基づいて運営することで、DC事業者側も事業への理解を得られやすくなるだろうと指摘する。
既設のBM制度と新設制度の両方で、建物や付帯設備などを持たずに保有するIT機器の機能を顧客に提供する「テナント型」業者も、面積やエネルギー使用量が一定以上の場合、新たに対象に加わる。
これは、他社の建屋を借りてホスティングやクラウドなどのサービスを提供する事業者も、専有部分は自らメンテナンスや独自の設備を運用するケースもあるとして、省エネの取り組みの余地があると判断したためという。
新規制と対象拡大については、5月に有識者らによる審議会で了承された。パブリックコメントを経て、本年度中に省エネ法に関係する省令や告示などが改正される見通しだ。
※Power Usage Effectiveness:電力使用効率、DCの全消費電力をサーバーなどIT機器の消費電力で割った値で、小さいほど効率が高いことを示す
- MCデジタル・リアルティ 「電力消費、より逼迫」 省エネ化に向け水冷の配管施工進める
- KDDI エネルギー価格はDC経営に打撃 省エネ・再エネ推進で顧客ニーズに応える
- Quantum Mesh 「液浸」の検証でPUE 1.03を記録
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