経済産業省は2026年度中をめどに、ITのスキル情報基盤サービス(仮称)の開始を目指す。ITスキル標準やデジタルスキル標準、情報処理技術者試験などの各種試験結果や、研修会の受講履歴などをオンラインで確認できる仕組みを検討。実現すれば「個々人のITスキルの可視化が容易になるだけでなく、全国のどの地域にどんなスキルをもった人材がいるのかを俯瞰することも可能になる」(商務情報政策局の内田了司・情報技術利用促進課長)見込みだ。
内田了司 課長
スキル情報基盤サービスでは、ITベンダーやユーザー企業に所属する技術者や、デジタル変革を推進するDX担当者など、全ての個人を対象としてスキルを可視化するとともに、「〇〇スキルを持っているあなたは、次に〇〇スキルを身につけてはどうか」といったキャリアパスの提案機能を実装する。
経産省が5月23日に発表した「Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会」報告書によれば、企業の技術革新に必要となるスキルと、自社の従業員のスキルとの間にギャップがあると認識している企業が4割余りを占めていることから、スキル情報基盤サービスでスキルギャップを可視化し、必要となる技術との差を埋められるよう支援していく。
ほかにも、スキル情報基盤サービスによる可視化の応用先として、▽転職する際のスキルマッチングに活用▽スキルに基づいた報酬体系の設計▽セキュリティー人材が不足している〇〇県で就職活動をする―といった選択肢が生まれることが期待される。
ただし、SIerなどのベンダーSEは、技術力を証明する手段として国内外の大手ITベンダーが実施している試験を重視する傾向がある現状を踏まえ、スキル情報基盤サービスと民間のベンダー試験をどう連携させていくのかが今後の課題となる。
(安藤章司)