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<1200号記念特集> 『週刊BCN』の創刊は、1981年10月15日 07年8月27日発行号で、創刊1200号を数えるに至った

2007/09/01 19:56

 『週刊BCN』の創刊は、1981年10月15日。07年8月27日発行号で、創刊1200号を数えるに至った。その間、IT業界を流通の視点からとらえ、ITにかかわるベンダーやインテグレーターのほか、それらの製品・サービスを最終ユーザーへ販売している企業などに愛読されてきた。週刊BCNとともに時代を歩んできた企業も、新たなステージに挑戦する。東芝情報機器は「販売・技術・サービスの三位一体」でソリューション事業を強化し、日本事務器は「アイデアを形に変え、より最適なソリューション」を顧客に届けることに注力する。富士通システムソリューションズは、「富士通グループのシステム開発の中核として子会社の再編」を進め、JBグループの中核としての役割を担う日本ビジネスコンピューターは、「自社開発ソリューションの外販を進めて市場を開拓する」構えだ。IT業界のさらなる飛躍のカギを握る各社に、これからの戦略を聞いた。

販売・技術・サービスの三位一体でソリューション事業をさらに強化
「Active 3i」 活動を推進、販売店ともより緊密に

「Active 3i」や魅力的な商品群で顧客満足の向上へ

 BCN AWARD 2007ノートPC部門の年間ランキングでトップに輝いた東芝。その要因を販売分野を受け持つ東芝情報機器の山下文男社長は「東芝の商品力とチャネル戦略」と語る。東芝は原子力から家電、パソコン、HD DVD、NANDフラッシュメモリーまで広範な商品を持つ。それらの品質の高さと、話題が豊富で時流に乗っているブランドイメージが強い商品力になっているという。チャネル戦略は、販売・技術・サービスが三位一体となったワンストップソリューションが有効に機能する。山下社長に事業戦略を聞いた。

「Active 3i」が奏功し第1四半期は好調に推移

 東芝は「iCube活動」で開発・生産・営業に関するイノベーションの相乗効果に取り組んでいる。これに呼応して東芝情報機器(以下、TIE)は、2007年4月から営業のイノベーションとして「Active 3i」という活動を進めている。これは、営業が顧客企業に対するアクティビティを3倍にし、厳しい市場のなかで顧客満足を倍に上げることを目標に、06年7月から進めているActive3活動に3つの「i」を加味したもので、インフォメーション=顧客の要求や困りごとを聞き出し、インテリジェンス=付加価値を創出して顧客に提供し、イノベーション=ソリューションを早いスピードで顧客に提供し、かつ、それを持続するという活動である。

 「そうしたActive 3iやdynabook SS RX1(以下、RX1)に代表される商品などで、第1四半期は市場での評価が高まり、社員の意識が物凄く変わってきた。逆にそうでないと生き残れない。東芝に限らず、日本の各企業は厳しい状況に置かれており、不採算部門は売却もしくは撤収になる。TIEは明確な方向性を決め、それに着実に取り組んできたことで、成果が出てきた」と山下社長は語る。

「PC運用上手」を核に、13商材のTIE Cube提供

 07年7月、東芝のノートPC販売台数は好調を維持している。そうした中でRX1は薄さ、軽さ、長寿命バッテリーで世界一を実現した戦略PCだ。もちろん、品質は折り紙付きだ。ロバスト性なども加わり、いくつものナンバーワンを備えたPCといって間違いないだろう。

 RX1の主な販売対象はエグゼクティブ、出張の多いビジネスパーソン、セキュリティを重視しているユーザーなどである。日本のあらゆる事業がグローバル化している現在、業種は問わない。

 RX1は、直販とチャネル販売の両方のルートをフルに活用する。このうちチャネル販売については、パートナーとの連携をさらに強化していきたい考えだ。

 TIEは07年10月、本社機能と首都圏の支店を東京・江東区豊洲に集中させる。その際に、新しいパートナーとのアライアンスについて発表する計画だ。

 「TIEは、日本全国を対象に営業、サービスを提供しているので、新しいパートナー戦略を通じて、全国のパートナーとより緊密な関係を構築していきたい」(山下社長)。

 パートナーが中小企業にも簡単に提案でき、活用できるPCを中心としたソリューションとして、13商材からなる「TIE Cube」がある。その中核が、07年8月から提供を開始する「PC運用上手」だ。これは、高度なIT知識がなくとも情報漏えい対策やPCの資産・運用管理ができる統合管理ツールである。

 「少し時間がかかるかもしれないが、SMB市場へ向けたソリューションとして大いに期待している。初年度の目標は1000セット、そのためにはパートナーとの連携が不可欠であり、TIEの強みである販売網をさらに強化していきたい」と、山下社長は語る。

「流れが出て波に乗った感じ。これから“勝ち”にいく」

 SMB市場向けのPCソリューションに力を入れる一方で、TIEは、本来の業務ソリューションにも精力を注いでいる。出退勤管理の「TimeWorks」、人事・給与の「Generalist」、ERPの「CAMPUS 2006シリーズ」、シルバー人材センター向けの「The しるばー」、医療の「ARTERIA」などである。

 このうちTimeWorksは中規模企業の勤怠で注目されており、グループ会社の東芝ソリューションとも連携していく。Generalistとの連動などで商談機会も増えており、売上で10%の伸びを目指す。ARTERIAは首都圏、関西、九州エリアを主体に着実に伸びており、首都圏は前年比倍、平均で1.5倍を目標としている。これらの業務ソリューションは、直販部隊を中心に、SIerとの連携によるハイブリッドな販売を展開している。

 TIEの売上は現在約1000億円だが、このうちハードウェアが約7割を占め、システム販売は3割となっている。そこで今後はシステム部門の売上を伸ばしていく考えだ。そのために、標準的なパッケージ化、技術者のスキルアップを図り、技術部門でもActive 3iのメソッドを投入していくという。

 「Active 3iは、要はPDCAをしっかり回すこと。そのためにコミュニケーション、見える化などを数字に落とし込み、議論している。しかも、すべての数字をショート・インターバル・コントロールと呼び、週単位以内で管理し、それによって誤差の修正を可能にしている」(山下社長)。

 システムの売上を伸ばすため、海外のソフト会社との協力も視野に入れながら分析し、提案できる能力を持ったSEの獲得にも意欲を見せる。さらに「営業、SE部門に女子社員をどんどん登用していきたい」考えだ。

 「第1四半期は80点くらいの出来と思っており、下期は100点を目指したい。ソリューション事業は3ヵ月、6ヵ月と作り込みをする必要があるが尻上がりに良くなってくる。新しく豊洲に移ることも一つのエポックメーキングだ。首都圏の拠点が統合するのはTIE始まって以来で、多くのメリットが出てくる。そうした流れができて、波の上に乗った感じがする。これから勝ちにいく」と、山下社長。

 勝負の年、ということになりそうだ。

東芝情報機器=http://www.toshiba-tie.co.jp/

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