Special Issue

<1200号記念特集> 『週刊BCN』の創刊は、1981年10月15日 07年8月27日発行号で、創刊1200号を数えるに至った

2007/09/01 19:56

価値創造の中核となる技術に注力 サービス品質を強化し顧客満足度向上
経営のスピードを上げることが大切

アイデアを形に変え、より最適なソリューションを

 全国各地域のさまざまな業種・業態のお客様に対し、システムとサービスを通じて、最適なソリューション、最良のICT環境を提供する日本事務器。 1924年創業以来の社是である「優れた商品」「正しい商売」「新分野の開拓」に終わりはない。42年ぶりに創業家より田中啓一新社長を迎え、新たなスタートを切った同社の目指すビジョンや目標などを聞いた。

多様な業種で豊富な実績 最適なサービスを提供

 日本事務器は、1924年の創業以来、一貫して、時代とともに変化するお客様のビジネスモデルを支えるべく、各業種・業務システムを提供してきた。

 その事業領域は、電子カルテシステムをはじめ、介護保険、健診、地域医療まで医療情報システムをトータルにサポートする「医療・福祉分野」、漁業協同組合の情報システムや大学・短大などの学校事務、教育サービスを支援する「公共・文教分野」、食品や雑貨、通信販売、小売店、外食、旅館業などお客様の戦略的経営と情報化を支援する「民間企業分野」など広範にカバー。業種・業態で異なる課題、要求に応えるソリューションをトータルに用意している。

 加えて内部統制強化やIT全般統制を支えるセキュリティソリューション「Seplus(セプラス)」やIPトータルソリューション「recipe(リサイプ)」などプラットフォームソリューションも展開している。その源泉となっているのが、80年に亘って培われた豊富な業務ノウハウをベースとした各種コンサルティング、システム企画構築、運用・保守サービスをワンストップで一貫して提供できる技術、サポート力である。

求められるスピード経営 時代の変化に俊敏に対応

 現在、ICTインフラの普及、ハード、ソフトの技術革新により、企業のグローバル化、スピード化が加速している。

 また、時代の変化に伴って、課題や要求されるニーズは多様化し、複雑化しつつある。

 そうしたダイナミックな変化に、日本事務器も応えていかなければならない。

 田中啓一社長は、「就任して約1か月、北海道から九州まで約100社のお客様にご挨拶に伺う中で、スピード経営の実践が大きなテーマであることを痛感しました。“買いたいときが使いたいとき”、少しでも早く使えるシステムの提供に向けて、企画から実際の導入・運用までのリードタイムの短縮が必要」と語る。そのためには、お客様以上のスピード感をもって組織の意思統一をしっかりしておかなければ成果は伴ってこない。

 「就任日の夕方に執行役員に、翌朝一番に管理職全員に方針を伝えました。流れの速いIT業界では、変化に敏感に反応し、仕事のサイクルを速くしなければなりません。長い経験と歴史が逆に足かせにならないように、そして言ったことが正しく理解され、行動が伴うように周知徹底していくことが事業を円滑かつ迅速に進めるうえで重要になります」(田中社長)と、社員一丸となってお客様と同じベクトルで取り組む必要性があることを強調する。

 信頼の礎となる言行一致が、お客様のニーズに応える真のソリューション提供につながる。

今後、重要になるのは「技術の追求」

 日本事務器の新たな挑戦が始まったが、田中社長は、「これまで大塚前社長と構造改革をまい進してきましたので、抜本的に経営方針を変えることはありません。ただ、今後ますます重要になってくるのは『技術の追求』です。私が技術系出身だからかもしれませんが、お客様にご提供する価値創造の中核は技術だと思っており、その技術の質が変化してきています。お役に立つ技術をお客様が使いこなせる形でご提供することが私たちの使命です。また、導入後のサービスも大切です。システムをご提供しても導入効果を実感していただけなければ、投資していただいたお客様のお役に立てたとはいえません。システムの導入効果を最大限発揮するためにも、導入支援、運用支援をしっかりと行っていくのが当社の務めです」と、システム稼働後の普及・定着までを重要ポイントに挙げる。

技術、運用・保守の充実が鍵 5年後に500億円、営業利益率5%

 日本事務器が掲げる中長期の目標は、5年後に500億円、営業利益率5%の達成である。

 「ただし、売り上げや利益だけを追求する経営はしません。得意分野で競合に勝てる力をしっかりとつけて、顧客満足度の向上を図りたいと思っています」(田中社長)と、地に足がついた体制で目標に向かってまい進する構えだ。

 常に未来を見据え、より最適なソリューションの提供を実現するために、日本事務器はアイデアを形に変えていく。

 ウェブ上のオフィス用品ショップ「あっとゆ~ま!」の売上拡大や、ERPパッケージとして発売した食品製造業・卸売業向け基幹業務パッケージ「CORE Plus qbic food(コアプラス・キュービック・フード)」や通信販売業務支援パッケージ「CORE Plus qbic Directone(コアプラス・キュービック・ダイレクトワン)」など「CORE Plus qbic」シリーズの拡販もその一部といえる。

 「当社は歴史のある企業ですが、1200号を発行したBCNも時代をリードしてきた媒体です。今が旬のビジネスや製品・サービス、技術に加え、半歩先、一歩先を行くビジネスに目を向けて、記事を紹介していただきたいと思います」と田中社長はエールを送る。

 お客様のビジネス・バリューを高める、信頼されるパートナーとして日本事務器の今後の動向に注目したい。

日本事務器=http://www.njc.co.jp/

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