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<コンシューマ冬商戦戦略特集> ユニークな製品が次々登場 エンドユーザーと販売店を意識した製品でシェア獲得を目指す 前編

2007/09/28 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

すでに冬商戦はスタート 各ベンダーの動きも活発に

 夏商戦を終え、一息ついている販売店も多いことだろう。しかし、冬商戦はすぐそこに迫っている。ベンダー各社は、すでに冬商戦に向けた準備を始めている。ベンダー各社の冬商戦戦略を追った。

■付加価値の高い商品が店頭に並ぶ

 まず、PC市場についてみていこう。PC市場は大手メーカーの製品が強い市場として知られているが、最近ではホワイトボックスなども伸長し、販売店の店頭をにぎわせている。また、多くのメーカーが参入し、デザイン、機能、価格など、それぞれに特色のある製品を投入し、市場の拡大を図っている。PCの場合、基本性能での差別化が困難なことから、特にデザインや付加価値の訴求が強い。BMW Group DesignworksUSAとのコラボレーションによるデザイン性の高いノートPCなどが店頭に彩りを添え、エンドユーザーのみならず販売店からも高い支持を得ている。

■地上デジタル放送に人気が集まる

 また、ワンセグも1つのキーワードになっている。地上デジタル放送では1つのチャンネルを13セグメントに分けた構造となっており、ハイビジョン放送では12セグメント、標準画質での放送では4セグメントが割り当てられている。モバイル機器は、画面が小さく低音質でもいいため、その中の1セグメントが割り当てられ「ワンセグ」というサービスが始まった。ワンセグは、地上デジタル放送のモバイル機器向け放送として携帯電話などに搭載され、すでに認知を獲得している。このワンセグをPCでも楽しめるようにするため、ワンセグ機能の付加モデルや、外付けのワンセグチューナーなどの活用シーンが増えている。PCも普及し、多くの家庭で導入されていることから、ワンセグ市場も広がりを見せている。モバイルはもちろん、自宅のデスクトップPCでもワンセグを視聴し、楽しんでいるユーザーが増えている。PCがよりパーソナルな機器になっている象徴ともいえる事例だろう。

 PC周辺機器ベンダーのなかには、これまで培ってきた技術やノウハウをデジタルホームに転用し、地上デジタル放送チューナーや液晶テレビなどを開発・販売する例も登場し始めた。家電のデジタル化が進み、家電とのPCの融合が進んでいるなか、これは自然の流れであり、新規参入企業の市場にかける期待は大きい。新規参入企業は、まずブランド認知から行っていかなければならない。そのため、市場を細かく分析し、価格・性能などは同クラスの大手メーカー製品と比べて勝るとも劣らない製品を提供するケースが増えているようだ。市場ニーズをうまくとらえ、高品質・高機能・高付加価値をうまく訴求すれば、シェアを獲得していく可能性はある。

■新規市場の開拓を目指す各社の思惑

 PCに触れるのは、決して大人だけではない。パソコンを学校の授業などでも取り入れるなど、子供がPCに触れる機会が増えている。その一方で、いわゆる出会い系サイトなどで犯罪被害者となるケースも増加し、社会問題となっている。家庭用のPCも、現在はネットワークに接続されているケースが多い。

 多くの場合、閲覧できるサイトに制限はかけておらず、誰もが自由に好きなホームページを閲覧できる。安全なホームページだけでなく、危険なホームページにも自由にアクセスできるのだ。

 子供にとって、これほど危険な環境はない。警察庁でも、サイバー犯罪対策として「フィルタリング」サービスなどの活用を推奨している。こうしたことから、PCの環境を子供専用に変更し、より安全にPCを活用できるソリューションが登場している。こうしたソリューションは、難しい設定が必要なく簡単に利用できるため、子供を持つ保護者からも注目を集めている。玩具メーカーやPC周辺機器ベンダーとのコラボレーションで商品化されるケースもあり、市場からもおおむね好評ととられているようだ。

 同様に、自社ブランドを統一し、ユーザーへの訴求力を強めようとするベンダーもある。これまでPC周辺機器といえば、ラインアップを増やし多くのブランドを立ち上げてきた。それらのブランドを統一し、注力商品に力を注ぐことで、知名度の向上を図っている。市場を強く意識したブランディング戦略、商品戦略などで商戦を有利に進めようという狙いがある。

 夏が終わったばかりだが、冬商戦はすでに始まっている。ニーズの変化を察知しながら新製品を投入する各ベンダーの冬商戦での活躍に注目したい。

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