Special Issue

<キングソフトオフィス2007特集> 互換性の高さから市場のすそ野を広げる

2007/10/26 19:56

週刊BCN 2007年10月22日vol.1208掲載

価格を10分の1に抑えたオフィス統合環境

 キングソフトは、1988年に中国で設立されたソフトウェア企業「金山軟件股有限公司」の日本法人。ワープロ、表計算などのオフィスソフトのほか、アンチウイルスを中心としたセキュリティソフトなど幅広いソフトウェアを開発・提供している企業としても知られている。2007年2月にオフィス統合環境「KINGSOFT Office2007(キングソフトオフィス2007)」を投入し、市場から注目を集めている。

■法人、文教市場でも浸透しているキングソフト オフィス2007

 企業のOA化が進み、すでに社員1人に1台以上のパソコンを割り当てている企業も少なくない。

 この状況下で、企業のオフィス文書もMicrosoft Officeがデファクトスタンダード(事実上の業界標準)として扱われ、企業内外を問わず情報共有をするための文書形式として広く利用されるまでになっている。一方、Microsoft Officeの独壇場であった市場だが、オープンソースのオフィス統合環境である「OpenOffice」や低価格のオフィス統合環境である「StarOffice」など、Microsoft Office形式と互換性のあるオフィス統合環境が台頭し、争いも激化している。しかし、これらのオフィス統合環境は、Microsoft Officeと互換性はあるものの、文書によっては、再現性に難があるなど、操作性が使い慣れたオフィス統合環境とは異なるなどの問題も表面化していた。

 キングソフトでは、Microsoft Officeに「最大限近づけた」オフィス統合環境「KINGSOFT Office2007(キングソフトオフィス2007)」を提供している。

 キングソフトオフィスは、2006年11月からベータ版を無償公開し、ユーザーからの意見・要望を取り入れ、07年2月からダウンロード版、3月よりパッケージ版を販売している。キングソフトオフィスの最大の特徴はMicrosoft Officeとの互換性の高さにある。Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPointの書式を崩さずに閲覧・編集できることに加え、これらの形式での保存も可能。また、操作性についてもデファクトスタンダードのMicrosoft Officeに近づけており、同ソフトユーザーであれば操作方法をあらためて学習し直す必要がない。また、PDF出力や軽快な動作など高い付加価値を有し、ユーザーからの支持も獲得している。

 「法人や文教市場などで導入を検討するケースが増えています。その中で互換性の高さに対する高い評価をいただいています」(キングソフト)とのことだ。

 仕事でやりとりする文書ファイルだと、「文字送りのズレ・段落ズレ・貼り付けた画像のズレ」が、致命的なミスの原因になる場合がある。だからこそ、互換性の高さが重視されるのだ。

 もう1つ、大きな特長がある。キングソフトオフィスは、Microsoft Office 2003と同様のインターフェースを備え、操作感も同ソフトウェアと同じだ。「Microsoft Office 2003のファンは多いようです。2007 Microsoft Office systemでは、ユーザーインターフェースが大きく変更されてしまったため、当社製品を購入されるお客様もいらっしゃいます」(キングソフト)とし、新しい顧客も取り込んでいる実態がある。

■ライセンスパックも提供 パートナーの付加価値として活用を

 また、コスト面も無視できない。Microsoft Officeは、従来のソフトとの互換性という意味では全く問題はないものの、導入コストが高い。キングソフトオフィスを活用すれば、導入価格を10分の1程度に圧縮できる。パートナー企業からは、「導入コストを抑えながら、付加価値を高める」ソリューションとして、活用され始めている。

 「ライセンスパックなども提供し、法人市場を開拓しています。引き合いも多くいただいています」(キングソフト)とのことだ。

 数多く導入する法人ユーザーの場合、投資効果の最大化は非常に重要な課題の1つである。キングソフトオフィスの活用は、導入コストに加え、導入後の教育といったコストも不要となり、投資効果の最大化を実現する、非常に魅力的なソリューションといえよう。また、キングソフトオフィスは、販売パートナーの付加価値として利用できるソリューションでもある。オフィスソフト市場における台風の目として、顧客・パートナー企業からの注目を集めている。(週刊BCN 2007年10月22日号掲載)

「Presentation」のパッケージ版が好評

 オフィスの統合環境として「ワープロ」「表計算」「プレゼンテーション」の3つのソフトが同梱された「キングソフトオフィス2007 スタンダード」のほかに「プレゼンテーションソフト」のみの「キングソフトオフィスプレゼンテーション 2007」が提供されている。これは、ユーザーからのニーズが高かったソフトウェアを単品でパッケージ販売したもので、販売も着実に伸長している。
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外部リンク

キングソフト=http://www.kingsoft.jp/