Special Issue

<グリーンIT特集> 環境負荷への低減が求められる

2007/12/13 19:56

週刊BCN 2007年12月10日vol.1215掲載

富士ゼロックス
MFPと共通エンジン搭載のLEDタンデム機を開発

■プリンタとMFPのエンジニアが共同開発

 富士ゼロックスが、新商品攻勢をかけている。11月7日にはA4対応のDocuPrint C1100、20日にはA3対応のDocuPrint C2250を発表した。「両製品とも待望の新商品だが、とくにA3対応のDocuPrint C2250は戦略機種だ」と語るのはオフィスプリンティングシステム事業本部マーケティング部天野慎吾マネージャー(ITコーディネーター)である。「戦略機種」という意味は、「MFP(多機能デジタル複写機)と共通のエンジンを搭載している」点だ。同社は、今年4月1日付で、それまでプリンタを担当していた富士ゼロックスプリンティングシステムズ(FXPS)を統合したが、「新商品は統合以前から岩槻事業所と海老名事業所のエンジニアが共同プロジェクトを組んで開発してきた」という。岩槻事業所はプリンタ、海老名事業所はMFPの開発を担当している。

■コストパフォーマンス+エコ、セキュリティ

 A3対応の新商品は、同社のDocuPrintシリーズとしては初めてのLED4連タンデム機である。新技術への挑戦という面から共同開発に踏み切ったわけだが、「共通エンジンとすることで、開発スピードを上げることができるし、MFPと共通なプリンティングソリューションを提供する」という狙いも持つ。

 DocuPrint C2250は、カラー、モノクロとも25枚/分のスピードを持ち、価格は19万8000円である。「速い、キレイ、安い、というのは、カラープリンタに求められる最低条件だが、ゼロックスのブランドを守るためにも、しっかりした画質、安定性、耐久性などを徹底的に追求した」という。一般的にコストダウンされた、デスクトップ型のプリンタは、出力枚数が多くなるにつれてトラブルも増えるが、DocuPrint C2250は「複合機と同様な過酷な使用条件を想定し、1つ1つクリアしてきた」というわけだ。「自動車でいえば、プレミアムクラスの車体とエンジンをスタンダード車に採用したようなもの。非常にお買い得なプリンタだ」と天野マネージャーは強調してやまない。

 従来以上に環境にも配慮している。スリープモード時は1.5W以下を実現したが、「これは画期的な低さ」だという。またスリープモード時だけでなく、「国際エネルギースタープログラム」の新適合基準であるTEC値も重視している。これは1週間の標準消費電力量、つまり総合的な消費電力量をさすが、「1.63kWhで、同クラスの他社製品より相当小さい」という。

 「鉛フリーのシャフトの採用や今話題のバイオマスプラスチックも一部採用しており、省電力化はもちろん、地球にやさしい素材も積極的に採用していく」意向で、同機種は第4回のエコプロダクツ大賞(エコプロダクツ部門経済産業大臣賞)を受賞した。

 また「セキュリティ対策にも完璧を期した」という。非接触型ICカードに対応、地紋印刷機能なども持たせた。「ISMSにしても継続的に更新審査を受けるわけで、ある規模以上の企業になると、セキュリティへの関心は非常に高まる。当然、使い易さも求められるが、たとえば地紋印刷をデフォルトにしておけば、いちいち設定しなくても、自動的に地紋を入れてくれる。企画部門や営業部門など、機密や個人情報を扱う部署には評価されるだろう」と天野マネージャー。

 細かい配慮も色々と凝らしている。「プリンタは机の上に置いて使用することも多い。その際、高さは非常に重要になるので、399mmと机上でも苦にならない高さを実現した」という。

■7万9800円のA4機も投入

 一方、A4機は、カラー12枚/分、モノクロ16枚/分のスピードを持ち、用紙搬送経路を短縮した新しいタンデムエンジンを搭載している。新エンジンは中間転写体を使わない構造で、小型トナーカートリッジを採用、省スペース化を実現した。「カラートナーが空になってもモノクロトナーだけで印刷でき、価格も7万9800円と低価格。モノクロ機からの買い替えも促進できる」としている。

富士ゼロックス=http://www.fujixerox.co.jp/

(週刊BCN 2007年12月10日号掲載)