Special Issue

SaaS・IT統制 「SaaS」「内部統制」がキーワードに 管理・運用性を高めるソリューションに注目が集まる

2008/03/28 19:56

週刊BCN 2008年03月24日vol.1228掲載

 「内部統制」は、上場企業だけに求められるのではないようだ。上場企業のグループ会社や取引先にも、内部統制の構築が求められる状況になりつつある。その理由は明解で、上場企業がいかに内部統制を構築しても、サプライチェーンでつながれている企業が内部統制を構築していなければ、そこがリスクになるからだ。「内部統制」への対応は、ほぼすべての企業で不可避となっている。

短期間でIT統制の実現

 日本版SOX法の適用を目前に控え、「内部統制」が運用のフェーズに移りつつある。しかし、日本版SOX法の対象企業すべてが運用のフェーズに移行しているわけではない。

 上場企業の状況をみると、時間のかかる文書化や業務フローなどにはすでに着手しており、ある程度目処もついているようだ。しかし、IT統制やセキュリティなどの検討は、導入までさほど時間を要しないため、いまだ検討段階という企業も少なくない。しかし、適用が始まる4月まで、あまり時間的な余裕はない。そろそろ着手しなければ間に合わなくなるということは、どの企業も意識しているようだ。

 IT統制を考慮した場合、経済産業省が公表した「システム管理基準追補版(財務報告に係るIT統制ガイダンス)」や企業会計審議会が公表した「財務報告にかかる内部統制の評価および監査の基準ならびに財務報告にかかる内部統制の評価および監査に関する実施基準案の設定について(意見書)」などを読み解きながら、企業ごとの要件に当てはめ、必要なツールを導入・運用しなければならない。

 もし闇雲に対策製品を導入していくと、ツールの管理だけで管理工数が大幅に増大し、本来の業務に集中できなくなる。また、ツール間の相性や企業で使っている業務システムとの相性などの検証も必要となり、万が一トラブルが発生した場合、短期間で課題を解決できない場合もあることを忘れてはいけない。

管理・運用性がカギを握る

 こういったことから、管理性を低下させることなく、必要なソリューションを導入する企業が増えている。製品・サービス・サポートをワンストップで提供できるベンダーやサービスだけを利用できるASP・SaaS型のソリューションも注目を集めている。

 特に、上場企業のグループ企業や取引先などの中堅・中小企業にとって、管理・運用工数を低減させながら、IT統制を実現することは必須条件となっている。その課題を解決できるソリューションが必要とされているのだ。

 管理・運用性に着目したソリューションは、まだまだ少ないというのが現状だが、市場ニーズは確実にある。今後、この切り口で新しいソリューションを提供するベンダーは増加していくだろう。

 IT統制への対応が急務ということもあり、これらのソリューション・サービスをうまく活用し、いち早くIT統制を運用のフェーズに持ち込むことが何よりも重視されているのは間違いない。

 ここでは、新しいビジネスチャンスを生む「管理・運用」というキーワードを元に、現状を分析してみる。

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