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<マイクロソフト特集> ソフトウェア開発の見える化で収益力をアップ 「ユーザーエクスペリエンス」「ALM」2つのコンセプトを持つMicrosoft Visual Studio 2008

2008/04/02 19:56

週刊BCN 2008年03月31日vol.1229掲載

AJAX、LINQなど使いやすさをプラスして生産性を向上
Web、Office、Windowsなど、多様なアプリケーション開発を実現

開発支援へ6つの管理機能を備えたVisual Studio Team Foundation Server

 最新プラットフォームの能力を最大限に活かし、優れたユーザーエクスペリエンスを持つアプリケーションを、迅速かつ高品質に構築する機能を提供する「Visual Studio 2008」。その中核を担うエンタープライズ開発向けのVisual Studio Team Systemは、効果的なプロジェクト管理ができるソフトウェア開発チームのためのコラボレーションサーバー「Visual Studio Team Foundation Server」をはじめ、開発と管理性の両面から開発現場を支えている。そこで、Visual Studioのプロダクト マネージャである近藤和彦氏に、機能性、開発者の導入メリットなどについて話を聞いた。

開発効率を高めたVisual Studio 2008 多様なアプリケーション開発に威力を発揮

 ITインフラが整備され、多様なニーズに応える環境が整った現在、ソフトウェアの重要性は一層高まりをみせている。特にビジネスにおいて、自動化、省力化といった効率化だけでなく、販売に直結する情報の可視化、分析といった攻めにつながるソフトウェア開発の注目度は高い。開発現場では、WebやWindows、Office、モバイルなど、様々な形態のアプリケーション開発が行われているが、形態が異なるとテクノロジー、ツール、開発手法も異なり、開発者には高いスキルが求められる。

 近藤マネージャは、こうした課題に対し、「Visual Studio 2008は、アプリケーションの開発スタイルを統一し、できるだけ制約を外すことを目指しました。これにより、ビジネス要件から適切なアプリケーションを選択することができ、かつ効率をあげることも可能です」とVisual Studioの基本アプローチを解説する。

 ユーザーエクスペリエンスを掲げるVisual Studio 2008では、それぞれのアプリケーション開発に向けて、機能強化を図っている。例えば、Windowsアプリケーション開発では、Windows Vistaでも提供されたアプリケーション開発環境「WPF(Windows Presentation Foundation)」を使用して、音声や動画に対応したリッチな3D表現を持つアプリケーションが作成できる。

 また、アプリケーション開発で最もホットなWebアプリケーションでは、「AJAX」対応のアプリケーション作成機能を搭載。開発の鍵となるJavaScript対応として、インテリセンスやデバッグなどの機能を強化した。

 そのほかにも、Officeアプリケーション開発では、Office 2003はもちろん、2007 Office systemにも対応。ワンクリックで実行できる様々な機能が並ぶ「リボン」をはじめ、リッチでオリジナリティに富んだ独自のユーザーインタフェースやWebサービスとの連携、データベースと直接連携などの機能を装備。モバイルアプリケーション開発では、サーバーなどバックエンドシステムとの連携を強化する機能を新たに追加した。

 「これらはWindows VistaやSQLServer 2008、2007 Office systemなど最新のプラットフォーム、テクノロジーを活用してアプリケーション開発が行えます。また、.NET Frameworkの複数バージョンのサポートも今回の大きな目玉です」と、近藤氏は多様なアプリケーション開発に威力を発揮する点をアピールする。

開発基盤を支えるVisual Studio Team System 作業の包括的かつ確実な管理が重要

photo Visual Studioは、個人やSOHOの開発者のために、生産性を向上する機能を数多く提供しているが、大規模な開発プロジェクトでは、効率的なプロジェクト管理を実現する機能が必要になってくる。それに対しても、Visual Studioは、エンタープライズ開発向けのVisual Studio Team Systemで、チームプロジェクトの管理効率を高め、データを可視化して開発者の判断を支援する機能で応えている。その中でも、チーム開発のプロジェクト管理に威力を発揮するコラボレ-ションサーバ「Team Foundation Server」は、6つの強力な管理機能を装備している。

 例えば、各プロジェクトに携わる担当者のタスクや作業を管理する「作業管理項目」は、開発プロセスにあわせた作業項目の作成が可能で、作業を紐つけて管理することができる。従来のようにツールを切り替える必要がなく、Team Foundation Serverで完結できる点が大きな特徴となっている。

 さらに、「プロジェクト管理」においては、各担当者の作業内容やステータスをリアルタイムに把握して、作業ロスを低減できる。さらに、バグの発生と対処など正確性が求められる計算もマイクロソフト製品との連携により、正確かつ自動化して効率的に処理できるようになる。

 Visual Studio Team Systemのデータは、SQL Serverで管理しているため、蓄積したデータをBI(高度な分析)機能を使ってレポート化できる「レポ-ティング機能」も大切な機能の一つ。データを俯瞰して、多次元分析が可能になるほか、Webによる結果の閲覧、CSVやPDF形式で印刷ができる。

 「プロジェクトポータル」は、Share Pointの機能をフル活用しつつ、プロジェクトごとにカスタマイズして情報管理や成果物の一元管理を行う。また、ソフトウェア開発で一番重要なソースコード資産の管理に対し、「変更管理機能」を提供。ソースコードのチェックイン、チェックアウト、排他制御などの基本的な機能に加え、作業と連動したソースコードの管理によって、マッピング作業やツールの切り替えなしに、変更管理ができる。同時に、チェックインの制御によって、品質管理の向上にも配慮している。最近のソフトウェア開発のトレンドは、早い段階でビルドしていくが、Team Foundation Serverでは、「ビルドの自動化」により継続的な結合が可能になる。

 「Team Foundation Serverが提供する機能は、シームレスに連動しており、さらにテストやコード分析などの機能と連携することができます。プロジェクト管理は煩わしいものですが、Team Foundation Serverは作業を軽減させ、生産性を向上する全方位の機能を持っています」(近藤氏)。

 求められるニーズに応える形で機能強化を図るVisual Studio 2008だが、「『AJAX』への標準対応、データアクセスをハンドリングする『LINQ』、日本語による豊富な情報は必見です。そのほかにも、文書とコードが同時に画面表示できる操作性、統合的なデバッグ環境、JavaScript環境の強化など見所は満載です」と近藤氏。開発者の欲しい機能を具現化するVisual Studio 2008は、工事進行基準の切り札としても期待が高まっている。

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