Special Issue

<NEC事例特集>ウイングアーク テクノロジーズ ナレッジと監視で顧客ニーズに応える

2008/05/05 19:55

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

 帳票開発・帳票運用の分野でトップシェアを獲得しているウイングアーク テクノロジーズが、NECの運用管理ツール「WebSAM Application Navigator(以下、WebSAM)」との連携を強化した。WebSAMによる内部リソースを含めたきめ細かな監視により、OSSを採用した同社の帳票システムの状態を可視化することで、信頼性を向上させることに成功している。多くの顧客・パートナー企業が、両社の連携によってメリットを享受できるだろう。WebSAMとの連携強化について、NECとウイングアーク テクノロジーズに話を聞いた。

WebSAMと連携を強化し、信頼性向上


ホストで行っていた帳票業務を
オープン系で実現するソリューション


 ウイングアーク テクノロジーズは、1993年より帳票ツールの開発・販売をスタートし、2004年3月に分社独立、「帳票/レポーティング/ドキュメント」の分野からシステム開発の効率化に貢献するソフトウェアを提供しているソフトウェアベンダーである。同社は、企業システムに欠かせない帳票運用の短期構築を実現する帳票基盤ソリューション「Super Visual Formade(以下、SVF)」のほか、ビジネス・インテリジェンス(BI)市場で注目を集めているデータ活用ソリューション「Dr.Sum EA」、Web入力画面開発ツール「StraForm-X」などを提供し、多くの企業に導入されている。

 帳票は、ミッションクリティカルな業務で活用されるため、障害発生が業務の支障に直結するケースが多い。損失を未然に防ぐためにも、帳票運用は常に堅実性・堅牢性が求められている。特に、出力ミスの許されない受発注伝票発行などの帳票システムが止まると、ビジネスそのものの停止を余儀なくされることもあり、信頼性が何よりも重視される。帳票システムの信頼性を向上させるため「02年頃から“WebSAM”と連携させていただいており、05年には帳票設計ソフトの“SVF”をはじめ、統合プリンタ制御ソフト“Report Director Enterprise(以下、RDE)”などを、NECでOEMとして提供しています」とNEC・第一システムソフトウェア事業部(運用管理グループ)エンジニアリングマネージャーの今田英顕氏は語る。「“SVF”は08年2月現在、製造、流通、金融、サービスなどの各業態、大手上場企業や官公庁、大手システムインテグレーターなどおよそ1万6000社に導入実績があり、サーバライセンス数で約7万4700サーバを出荷しています。大規模な基幹システムに導入されるケースが多いですね」と、ウイングアーク テクノロジーズ・ソリューションサービス本部・本部長の赤松浩司氏。

 非常に多くの企業に導入されている同社のソリューションだが、「UNIX・Windows対応ミドルウェアパッケージソフトの市場展望【開発・運用編】2007年度版」(ミック研究所)によると、06年度の同社帳票運用パッケージ出荷金額は市場全体の57.5%に達し、トップシェア獲得の実績がある。つまり市場で活用される帳票ソリューションのおよそ半分が、同社のソリューションから出力されていることになる。多くの企業から支持されていることが、この数字からもうかがい知ることができるだろう。「帳票をオープン系で一元管理できる製品というのは、市場ではまだ少ないです。これまで、ホスト系で実施していたプリンティングをそのままオープン系で実現したいという声にお応えしてきた結果、ご支持いただけているのだと思います」(ウイングアーク テクノロジーズ・事業統括本部・エンタープライズビジネス事業部・部長 清水克浩氏)。

基幹システムで
使われるからこそ
信頼性が何より重要


 「これまでも、お客様への対応を強化していきたいという思いはありました。そのなかでネックとなっていたのがOSSのノウハウについてです。当社の製品にはPostgreSQLやTomcatといったOSSの技術を採用している部分があります。しかし、OSSは原則として利用者責任が一般的とされているため、これをお客様が懸念されることもあります。今回のNEC様との協業強化によって、OSSを含むシステム全体のナレッジを蓄積し、原因の解明・ノウハウを有効にご提供することが可能となります。これはお客様にとって、非常に大きなメリットだと考えています」(赤松氏)。「NECは、OSS/Linuxを基幹システムへ本格適用する取り組みを早くから推進しており、お客様への万全なサポート対応からOSSのナレッジを蓄積してきました。それに加えて、“SVF”や”RDE“の導入サポートノウハウも豊富であり、この両方を持つ強みが、製品に生かされていると思います」とNEC・第一システムソフトウェア事業部(運用管理グループ)主任の坂本浩基氏。“RDE”だけでは対応しきれないシステム全体の印刷監視については「WebSAM」を活用して、定量的な監視項目をもうけ、帳票システムの稼働状況を監視しておくことで、システム障害を未然に防ぐことも可能となる。NECのノウハウを活用することで、ウイングアーク テクノロジーズのソリューションは、より信頼性を高め、顧客企業に安心感を与えることができる。

 NECは運用管理製品以外にも、数多くの製品・ソリューションを持っている。ウイングアーク テクノロジーズは、今後もNECとの協業を強化し、幅広いソリューションを提供していく構えだ。このような連携は、自社のソリューションの付加価値を高めることに加え、顧客・パートナー企業へのメリットにもなる。今後の展開が楽しみである。

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/WebSAM/

ウイングアーク テクノロジーズ=http://www.wingarc.com/