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【緊急レポート】仮想化のトレンドを追う 仮想化をビジネスチャンスにする「Coyote Point Systems社 Equalizer VLB」

2008/06/30 15:49

週刊BCN 2008年06月30日vol.1241掲載

 アジア最大級のネットワークコンピューティングイベント「Interop Tokyo 2008」の会場で、これからのビジネスの活性化をさせるであろう最新技術を展示する出展社を見つけた。「Coyote Point Systems」は、アプリケーションデリバリに軸足を置いたソリューション「Equalizer」シリーズを提供してきたが、仮想化環境でのビジネス継続を強化する新しい機能として「Equalizer VLB(Virtual Load Balancing)」を参考展示していた。その内容をレポートする。

Interop Tokyo 2008で注目!

企業課題を解決する「仮想化」技術が注目

 2008年6月11日から13日の3日間、幕張メッセ(千葉)で開催されたアジア最大級のネットワークコンピューティングイベント「Interop Tokyo 2008」は、14万9760人の入場者を数えた。同イベントは、最新の技術を競う展示会であると同時に、ビジネスを活性化させる有益な製品・ソリューションを具体的に検証できる場でもある。それだけに、毎年多くの入場者数を記録している。

 特に、注目されている技術やネットワーク環境に関する話題を集めた「主催者企画」を見ているだけでも、最先端の技術動向などのチェックができる。注目を集めていたのは「業務効率化・最適化」「セキュリティ」、そして「コスト削減」を実現するソリューションだ。その中で「グリーンIT」が大きなキーワードとなっていたことは間違いない。実際、多くの展示で「グリーンIT」を大きくうたい、ソリューションや製品などで、地球環境保護を実現する提案や取り組みが紹介されていた。

 「グリーンIT」に取り組むためには、サーバーやストレージといった企業システムの集約から始めるといい。企業システムが分散設置されている場合、それぞれが電力を消費するばかりか、それらのリソースを使い切れていないという課題があるからだ。システムを統合することで、企業システム全体の効率を向上させ、無駄な消費電力が削減できるのである。

 一方で、稼働している既存システムを新システムに移行するにあたり、OSやアプリケーションのバージョンアップを行わなければならないというリスクがある。特にWindows NT 4.0などが稼働している場合には、その移行にはかなりの検証時間と開発費用がかかるだろう。

 これらの課題を解決する手段として「仮想化」が活用されている。「仮想化」は、企業システムの集約をさらに加速させる起爆剤として期待され、「VMware」などのソフトウェアも一般的に活用されるようになっている。


VMware上で負荷分散を実現

 「Interop Tokyo 2008」の会場で、仮想化環境でのビジネスの継続性を強化するソリューションが参考展示されていた。統合的なアプリケーションデリバリを実現するロードバランサー「Equalizer」シリーズを提供している「Coyote Point Systems」ブース内にあった、「Equalizer VLB(Virtual Load Balancing)」だ。これは、複数のVMware ESX Serverおよび仮想サーバーファームを1つのコンソールで一元管理するための管理ツール「VMware VirtualCenter」との連携までを視野に入れたソリューションである。

 現在は「VMware VirtualCenter」から取得した仮想サーバーの負荷情報を元に動的負荷分散を可能としている。つまり、アプリケーションパフォーマンスと高可用性をVMware上の仮想化環境でも実現し、ビジネス継続を強化する試みである。

 「仮想化」が進めば、ロードバランサーの活用範囲は飛躍的に増えるだろう。高速・安全にアプリケーションデリバリを行いたいというニーズはさらに高まると予想されるためだ。また、仮想サーバーは、これまでの物理サーバーに比べ、非常にフレキシブルに活用できる。さらに「VMware VirtualCenter」との連携が進めば、負荷に応じて、仮想サーバーを増減させることも可能になるのだ。そのような環境も、すでに現実のものになり始めている。

 さらに同ブースで参考展示されていた「Equalizer E650si」は、物理的に離れた環境でも広域ロードバランシング(GSLB)を行うことで各拠点間での冗長化も実現する。離れたデータセンター間やデータセンターと自社システムといったように、拠点間でも可用性を高められるため、災害復旧ソリューションも統合する試みである。また、ファイルごとに圧縮設定できる機能も統合され、コンテンツ圧縮の効果により無駄なトラフィックを減らし、高速化通信を実現可能だ。各仮想サーバーの使用率やトラフィック量に自動的に対応し、限られた仮想化環境下での有効的なリソース利用を実現している。

 実はCoyote Point Systems社が提供する「Equalizer」の日本総販売代理店は、仮想化ソリューションで知られるネットワールドである。同社が強みとして持っている「VMware」と「Equalizer」の連携に一役買ったことは想像に難くない。

 今後「仮想化」はシステム統合や災害復旧を実現するソリューションとして、数多く導入される。その次の要件は、仮想化環境におけるアプリケーションデリバリの実現であろう。「仮想化」「アプリケーションデリバリ」の双方の技術を融合し、全く新しいソリューションを提供している「Coyote Point Systems」が、今後注目されるのは必至だ。新しいビジネスチャンスを創出する同社に、市場からの期待も大きい。

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