Special Issue

<データセンター特集>データセンター事業 需要増で拡充相次ぐ セキュリティやSaaSが追い風

2008/09/24 19:56

週刊BCN 2008年09月22日vol.1252掲載

京セラコミュニケーションシステム
ITインフラの俊敏性の確保や管理・運用コストの最適化を実現
10月より「D@TA Center」にオンデマンドサービスを追加

分散化したシステムを仮想化する企業が増加

 情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)がビジネスの根幹を支えるようになった。これは多くの企業が実感していることであろう。その一方で、新たな課題も生じている。

 1990年代には、ハードウェアの低価格化と情報量の増大により、企業システムのスケールアウト化がトレンドとなった。その結果、システムは分散化し、ITインフラの複雑化、運用コストの増大、運用効率の低下を招いてしまった。

 現在、企業は、加速する事業スピードに対応できるITインフラの俊敏性を確保しつつ、管理・運用コストの最適化を実現するため「仮想化技術」を活用し始めている。

オンデマンドサービスで必要なだけリソースを提供

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS)のデータセンターサービスは1999年にスタートした。携帯電話のインターネット接続サービスを始めようとしていたKDDIが、コンテンツ配信プロバイダ向けのシステムアウトソーシングビジネスをKCCSと共同で企画し、京都府にデータセンターを新設したのが始まりである。その後、東京都にもデータセンターを設け、180社を超える企業と契約し、2500台以上ものサーバを運用している。

 KCCSは2008年10月より、インターネットデータセンター「D@TA Center」の新たなプラットフォームサービスとして、仮想化技術を基盤としたオンデマンドサービスの提供を開始する。オンデマンドサービスは、KCCSの仮想化技術におけるノウハウを結集し、ユーザー企業が必要な時に必要な分だけITリソースを利用できるサービスとなっている。オンデマンドサービスは、利用した分だけ課金される従量課金制となっているため、ユーザー企業にとっては、必要最低限の投資のみで済み、運用コストの削減にも寄与する。

 インフラからミドルウェアまでの運用サポートはデータセンター常駐のエンジニアが行うため、顧客企業はサーバの運用・管理から解放され、本来業務に集中することが可能となるだろう。

フルアウトソーシングで顧客企業を支援する

 オンデマンドサービスのサービスメニューは「オンデマンドサーバ」と「オンデマンドストレージ」からなる。

 「オンデマンドサーバ」は、データセンター内の仮想環境から顧客専用のサーバを提供。OSはWindows/Linuxから選択でき、各種ミドルウェアまでサポートする。CPUは、利用状況に応じてベストエフォートで自動的に拡張される。これまで、ピーク時に合わせてサーバをサイジングしなければならず、平常時には余分なサーバリソースを抱えることを余儀なくされていた企業や、突発的な需要に対応できないといった課題に対しても、「オンデマンドサーバ」は応えることができる。

 「オンデマンドストレージ」では、100GBから2TBまでのディスクボリュームを提供する(100GB以下の容量提供についても個別に相談に応じる)。個別に大型のストレージを導入することなく、格納するデータ量に応じて、段階的な拡張を実現するサービスだ。

 メールデータなどを長期間保存するアーカイブ領域やバックアップ用途などにも利用できる。オプションサービスとしてNAS、バックアップツールなども用意されている。

 KCCSは、データセンターサービスにおけるフルマネージドサービスに加え、インフラの設計・構築といった段階からのサポートを含めた、フルアウトソーシングを提供している。もちろん、サーバ統合や事業継続といった課題に対しても、オンデマンドサービスを軸としたソリューションの提供を可能としている。

 フルアウトソーシングで顧客企業を支えるKCCS。顧客視点で提供されるサービスは、今後、さらなる伸長を遂げることは間違いない。「オンデマンドサービス」で新たな市場を開拓することだろう。


京セラコミュニケーションシステム=http://www.kccs.co.jp/

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