Special Issue
<Coyote Point Systems>新製品で顧客層を幅広く網羅
2009/03/13 19:55
週刊BCN 2009年03月09日vol.1275掲載
仮想化ベースの事業展開を加速
社内体制の整備で成長 戦略的な製品で飛躍ロードバランサーを主力製品に据えて順調にビジネス拡大を実現しているCoyote Point Systemsは、ワールドワイドの昨年度(08年12月期)実績が売上高で前年度比15%増、利益で前年度の2倍以上という躍進を果たした。その要因は、チャネル担当を中心とした3倍以上の営業人員増強、マーケティングプランの策定、ポジショニングの選定などを積極的に進めてきたことにある。Presidentを務めるMichael C. Hayes氏は、「成長するための投資は惜しみませんでした」と説明する。ワールドワイド売上高の約20%を占める日本では、昨年度の業績が前年度比6%弱と堅調に推移している。
ここまで同社が飛躍を遂げたのは、メインターゲットを明確にしているためだ。同社が顧客として獲得に力を注いでいるのはSME市場。SME市場はロードバランサー事業拡大の大きなポテンシャルを秘めているといわれている。大企業で需要が一巡している一方、SME市場はこれから。需要が眠る成長市場で、他社に先行して積極的な事業展開を図ったことが同社が大幅に業績を伸ばした所以である。Hayes氏は、「現在、米国金融危機から端を発した世界同時不況で、ネットワーク業界でも少なからず厳しい状況になることが予想されます。顧客企業は、ますますROI(投資対効果)を期待するようになりますが、こうした意識は当社にとって大きな強みになります」と、価格面や機能面を含めて同社製品が顧客ニーズに対応できるとし、「今後も、ますます成長しますよ」と自信のほどを示す。日本では、今年度の売上高として前年度比20%増を見込んでいる。
戦略的な製品を市場投入 新プラットフォームがカギ
昨年度に事業拡大を図るための社内体制強化を行い、今年度も業績を伸ばす見通しを立てている同社が、強化策として挙げているのが戦略的な製品の市場投入である。「Equalizer GX」シリーズをこのほどワールドワイドで発売。この新製品により、SME市場に加えてミドルエンドやハイエンドまでを網羅するようになった。Hayes氏は、「このシリーズは、ユーザー企業や販売パートナーに、従来に増してメリットを与えます」と強調する。
「Equalizer GX」シリーズは、全ポート1GE(ギガビットイーサネット)対応で高性能SSL(セキュアソケットレイヤー)アクセラレーション機能を搭載した新しいハードウェアプラットフォームである。対象ユーザーごとに3種類のモデルを揃えている。ハイエンド向け「E650GX」シリーズ、ミドルエンド向け「E450GX」シリーズ、既存顧客層に「E350GX」シリーズなどといった具合だ。
Hayes氏は、「これまでシェアを獲得してきた市場を維持していきながら、なおかつ新しいユーザー層を開拓できるようになります」としている。価格は「E650GX」シリーズが400万円から、「E450GX」シリーズが230万円から、「E350GX」シリーズが132万円からなどとリーズナブルに設定している。
SME市場には、同社以外にも競合他社が数多く存在する。「それぞれの顧客層に対して、競合他社の製品と比較して機能面や価格面で優位性があると確信しています」とアピールする。
仮想環境で拡張性を実現 ウェブ事業者に提案を促進
また、「Equalizer GX」シリーズをはじめとした同社製品の強みは、物理環境だけでなく仮想環境でも効果を発揮することにある。仮想マシンのロードバランシング機能「Equalizer VLB」で実現している。同機能は、統合管理製品であるVMwareの「Virtual Center」と連携して負荷分散するほか、仮想マシンによるCPUやメモリの使用率が閾値に達した場合に該当サーバーのシャットダウンや待機サーバーの立ち上げなどが可能。ネットワーク側で仮想環境を操作することが最大の特徴だ。
現在、日本市場ではサーバーの統合を中心に仮想化に関連した製品・サービスの導入機運が高まりつつある。サーバーの仮想化に加えて、ネットワーク側からの仮想化を提案していくことで、仮想化需要が一段と増していくといえそうだ。国内総販売代理店のネットワールドでは、既存顧客へのリプレース需要を掘り起こしていくほか、ウェブサービス事業者に対して導入を促すという。ウェブサービス事業者によるユーザー向けにサービスを提供するためのシステムは、PCサーバーを増設するという「分散型」であるケースが多い。そこで、CoyotePoint製品を組み合わせたサーバー統合を提案することで新規開拓を図っていく。
ウェブサービス事業者は、一度に多額の投資が行えないという理由から低価格のPCサーバー増設でシステム増強を補っている。しかし、CoyotePoint製品を導入することでROIが期待できることを訴えていけば、ウェブサービス事業者の意識を変える可能性はある。仮想化関連ベンダーにとっては、新しい顧客層が生まれるというわけだ。また、ネットワーク側からの仮想化提案を含めた製品・サービス提供は、クラウドコンピューティング時代に即したビジネスモデルとしても定着するだろう。
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